ハンセン病元患者家族訴訟の判決確定を受け、超党派議員グループが議論していた補償法案の基本方針がまとまった。法案は臨時国会に提出される。

 置き去りにされてきた家族の、被害回復への道が整った。長らく偏見や差別に耐えてきた代償として十分ではない金額とはいえ、家族補償の意義は大きい。早期救済を目指す姿勢も評価できる。

 補償額は判決より引き上げて最大180万円とした。対象は元患者の親子や配偶者、きょうだいに加え、同居していたおい、めい、孫、ひ孫らとなる見込みだ。

 元患者の療養所への入所歴は問わず、6月の熊本地裁判決が認めなかった2002年以降の被害や、米国統治下の沖縄、戦前の台湾や朝鮮半島に住んでいた元患者家族も含める。より幅広い救済につなげる方針を歓迎したい。

 とはいえ、元患者との家族関係を壊され、就学就労の拒否や結婚差別などを強いられた苦しみは消えない。「国がこれで罪をつぐなったと合点する人はいない」(林力原告団長)との言葉を重く受け止めねばなるまい。

 法案の前文には「国会および政府」を主語として、「悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびする」と明記する。国の強制隔離政策で家族が被った差別被害に対し、国や国会の責任をより明確にするためだ。

 元患者を対象にしたハンセン病補償金支給法は前文の主語が「我ら」となっており、責任の所在が曖昧だった。差別被害を繰り返さないためには、真摯(しんし)に政策の過ちを認めねばならない。そのためにも責任明示は不可欠といえる。

 元患者本人の補償法施行から18年を経て、ようやくその家族に対しても補償の枠組みが固まったといえるが、懸念がある。

 厚生労働省は対象が2万~3万人、予算規模が350億~500億円になると試算するものの、元患者家族の人数や現況を正確に把握できていない。根強い差別を恐れて名乗り出られない人は少なくない。国は一人一人が漏れなく救済されるよう実効性のある制度設計に知恵を絞るとともに、補償の仕組みを周知する責任がある。

 ただ家族への補償は救済に向けた一歩にすぎない。真の救済は偏見や差別の解消であろう。従来の施策が不十分だったことは、いまだ氏名を公表できない原告が多数いることからも明らかだ。差別根絶に向けて、あらゆる取り組みを急がねばならない。