非正規公務員の処遇を改善するとして昨年4月、地方公務員法などが改正され、「会計年度任用職員」制度が導入された。

 自治体ごとに法的な位置づけが異なっていた非正規職員の地位を明確にし、ボーナスや退職手当などを支給する根拠法にもなった。

 ところが、実際には賃金引き下げや雇い止めにつながっているとの指摘がある。

 非正規公務員の多くは、暮らしや労働、雇用などに関する相談業務など、公共サービスの最前線を担っている。

 安心して働き続けられるよう、新制度の趣旨に沿った待遇に改めていく必要がある。

 総務省の2020年度調査では、地方自治体などの非正規公務員は約69万4千人で、9割を会計年度任用職員が占める。その4分の3が女性だ。

 非正規公務員が増えたのは、財政難を理由にした正規職員の採用減と非正規への置き換えが契機だが、それだけではない。貧困家庭や家庭内暴力(DV)被害者の相談など、新たな行政サービスが増えたためだ。

 豊かな対人スキルや知識、経験が必要な業務を、非正規の女性職員が担っている。だが、働く環境は厳しい。

 非正規職員や研究者らでつくる「公務非正規女性全国ネットワーク」が4月から6月に行ったアンケートでは、回答した約1200人の90%超が1年ごとの契約で働く女性で、半数以上が年収200万円未満だった。

 自由記述では「給与が低い」(42%)、「将来不安」(34%)などの声が目立つ。回答者の3人に1人が「主たる生計維持者」と答えた。体調やメンタル面で「不調」「やや不調」を訴える人も半数近くいる。低収入で生活を支える人たちの実情が浮かんでくる。

 会計年度任用職員制度については「労働時間を短くされ減収になった」「ボーナスは支給されるが月収が3万円減った」などの訴えが多く、「仕事がなくなった」という理由で雇い止めになったという声もあった。任用期間が無期限から期間限定にされたという指摘もある。

 ボーナスや退職金支払いのためとして月額賃金をカットした自治体もあるようだ。パートタイムについては、退職金やボーナス、手当などの支払い義務がないため勤務時間を一方的に短くする自治体が存在するという専門家の指摘もある。

 加藤勝信官房長官は7月の記者会見で「適正化に取り組む」と述べた。そのためにはまず、国が責任を持って実態を調査する必要がある。

 DV被害者相談などは国の政策に沿って拡大してきた経緯がある。必要な施策なら、業務に見合う手当ては十分なされるべきだ。

 これらの職場は人と接することが多く、新型コロナウイルス感染のリスクが高いことも忘れてはなるまい。

 格差を助長、固定化しかねないような政策が公務員の職場で運用されているとすれば、民間の労働現場に与える影響も大きい。職責を踏まえた処遇へ、検討を急がなくてはならない。