「調査を通じて介護負担の重さや期間、その影響を丁寧に見てほしい」と話す朝田健太さん(京都市中京区)

「調査を通じて介護負担の重さや期間、その影響を丁寧に見てほしい」と話す朝田健太さん(京都市中京区)

 京都市が実施するヤングケアラー実態調査を今後の支援にどう生かすべきか。認知症だった祖父の介護を約10年間担い、現在はヤングケアラー同士で体験や悩みを話し合う「ふうせんの会」を運営する朝田健太さん(35)=京都市北区=に当事者の抱える課題と望まれる社会の在り方を聞いた。

 学校で同級生が「宿題が大変」とか「今日はどこへ遊びに行こう」と日常会話をしている輪になかなか加わっていけず、学校に通えてはいても孤立感を抱えている子は多い。学業や部活動、進学と介護との両立の悩みを同じ立場で話せる人を探すことは難しい。

 「ふうせんの会」の参加者には、学校の先生に言っても「みんな大変なことはある」と取り合ってもらえなかったり、遅刻の理由を答えたら「介護を言い訳にするな」と叱責(しっせき)されたりした人もいた。周りの無理解も打ち明けにくさにつながっている。京都市の調査は、本人が家族のケアを担っていることを学校で話しやすい雰囲気をつくる意義はある。

 しかし、ケアラー(介護者)支援条例制定を前提とするなど具体的な政策を念頭に置いたり、並行して教員研修を始めたりしている他都市と比べ、現時点で京都市の具体的なビジョンが見えない。国と同じ質問項目をそのまま使い、教員に聞き取りも行わないなどの姿勢からも、「調査して終わり」にならないかを懸念している。行政が司令塔を担い、積極的に関わるべきだ。

 ケアの負担をどの程度担っていたら支援が必要な対象になるのか、線引きの議論も必要だ。ヤングケアラーは周りから「お手伝い」と言われ、負担の重さを自覚しにくいことがある。この線引きの周知を含め、学校や教員に繰り返し研修を行うことも欠かせない。

 調査をきっかけに、市民の皆さんも自分のこととして考えてほしい。いずれ自分や、周りの友人、会社の同僚らが身内の介護をしなければならない状況に必ず直面する。ヤングケアラーに限らず、さまざまな要因で介護と自分の人生との両立に悩んでいる人がいる。どういう気持ちを抱えているかを想像し、つらく当たることがないように心掛けてもらうだけでも孤立感の解消につながる。社会の価値観を変えていきたい。