昭和30年代の日野町鎌掛地域の風景や人々の暮らしが描かれた絵屏風(滋賀県日野町鎌掛・鎌掛公民館)

昭和30年代の日野町鎌掛地域の風景や人々の暮らしが描かれた絵屏風(滋賀県日野町鎌掛・鎌掛公民館)

 滋賀県日野町鎌掛(かいがけ)地域の住民らが、約50~60年前の集落を題材にした絵屏風(びょうぶ)を制作した。住民への聞き取り調査や作画に約1年半を費やし、かつての農村風景や懐かしい思い出を描き入れた。住民は「地域の歴史を残すことにつなげたい」と話す。

 鎌掛地域は江戸時代に宿場町「鎌掛宿」として栄えた。昭和30年代を境に道路整備や農地改良、農機具の機械化で集落の暮らしや風景は大きく変化した。
 福本英一さん(76)を代表にして約20人が昨年6月、「ふるさとの思い出を形にしよう」と絵屏風の制作実行委員会を立ち上げた。県立大の上田洋平講師の助言を受けながら、70~80代の十数人から当時の様子を聞き取り、町史の写真などを参考に作画。今年10月中旬に完成させた。
 屏風は縦1・8メートル、横3・6メートル。細かく区分けされた田園と立ち並ぶ家屋で集落の全景を描いている。国指定天然記念物・ホンシャクナゲの群落や、特産の「日野菜」を洗う主婦なども盛り込んだ。竹のスキー板で遊ぶ子どもや自転車に乗ってアイスキャンデーを売る行商人も、生き生きとした表情で登場する。牛を使って畑を耕す農家など今では見られない光景も多い。
 江戸時代の鎌掛宿にあった店の配置図も絵の脇に添えた。全長約500メートルの街道筋に、14の旅篭(はたご)を含めて酒屋や雑貨屋など計37店が軒を並べた様子を紹介している。
 福本さんは「若い人にも町の歴史と特徴を再認識してもらえれば」と語る。絵屏風は、11月2、3日に鎌掛公民館で開かれる文化祭で公開する。