京都市民らが市の行財政改革計画案に寄せた市民意見の一部。市が策定した計画には意見が反映されなかった

京都市民らが市の行財政改革計画案に寄せた市民意見の一部。市が策定した計画には意見が反映されなかった

 京都市が8月10日にまとめた行財政改革計画を巡って、案の段階で市民らからパブリックコメント(市民意見)が約9千件寄せられた。門川大作市長は「関心の高さを重く受け止める」としたが、計画には意見がほぼ反映されていない。市は「今後の施策検討の参考にする」とするが、意見を寄せた市民は「民意を生かす気はあるのか」など市の姿勢に疑問を投げ掛ける。

 市は6月上旬に計画案を公表し、同12日~7月11日、市民意見を募集。20歳未満~70代以上の3610人から計9013件が集まった。2006年の市景観計画で約9400件が寄せられて以来の多さという。今回、世代別では30代の792人が最多で、40代の690人、50代の464人が続き、現役世代が多く意見を寄せた。

 意見の内訳で最も多かったのは、市民サービスの変更を盛り込んだ「事業見直しや受益者負担の適正化」の分野で、全体の55%に当たる4981件を占めた。うち保育士らの給与底上げを図る補助金についてが1299件に上り、敬老乗車証は537件、保育料は504件、子育て支援全般は442件だった。計画案の段階で、保育料と学童クラブ事業など子育て支援施策で負担増の方向性が示されたためとみられる。

 市行財政局は意見の全容について「子育て支援関連は計画案への反対意見が多い」という。実際に「保育料の値上げは時代錯誤」、「若年層への福祉施策の見直しは市外流出を加速させるだけ」など否定的な意見が集まっている。敬老乗車証に関しては「見直しは反対」「負担金を上げてでも70歳から利用できるように」といった意見が届いている。

 市は今回、こうした市民サービスの見直しに関する項目は計画案から変更しておらず、意見は結局反映されなかった。同局は「計画は行財政改革の大枠を示すもの」とした上で、「各部局が事業の詳細を決める中で参考にしたい」との見解を示す。

 一方、意見を寄せた市民らからは疑問や憤りの声が上がる。保育料の値上げについて意見を出した市内の民間保育園長(38)は「市民を軽視している」と憤る。同じく意見を提出した伏見区の女性(36)も「市民意見の募集は形だけなのか。そもそもの計画案の説明も難しい表現ばかり」と批判し、「財政ありきで市民や現場の立場に寄り添っていない」と断じた。