担い手不足から存続の危機にある京都府無形民俗文化財の木津川市山城町の「精霊踊り」(2004年撮影)

担い手不足から存続の危機にある京都府無形民俗文化財の木津川市山城町の「精霊踊り」(2004年撮影)

 京都府無形民俗文化財に登録されている京都府木津川市山城町上狛の「精霊(しょうらい)踊り」が、地域住民の高齢化や担い手不足により、消滅しかけている。毎年8月14日に行われていたが、踊りを継承する「しょうらい踊り保存会」が2018年から活動を休止しており、500年以上前から伝わる伝統芸能が存続の危機にある。

 精霊踊りは、室町から戦国時代にかけて大和地方で流行した「念仏踊り」が源流。はやり歌を取り込んで「風流(ふりゅう)踊り」に変化し、白装束に身を包んだ一行が歌や太鼓に合わせて新仏を迎える家を巡り、亡くなった人の霊を供養していた。

 山城町上狛や平尾など各地域で毎年8月に行われてきたが、太平洋戦争や1953年の南山城水害で途絶えた。上狛では太鼓やかねが残っており、踊れる人や歌える人も多かったことから、盆ではなく地域の芸能大会などで不定期で継続されてきた。85年に文化財登録され、伝統芸能の消滅を危惧した住民らが92年に保存会を結成、行事を復活させ毎年8月14日に執り行ってきた。

 しかし、年々、踊りを知る住民が高齢化し、亡くなる中、若い世代の担い手の確保も難しくなっていったという。2015年には踊りを取りやめて集落を練り歩く巡行のみとなり、18年には全ての行事が中止された。発足当初は60人ほどいた保存会の会員は18年時点で28人にまで減少。同年に保存会を休止することを決めた。

 保存会事務局長の中島正さん(62)は「組織を動かしていくべき青年や中年世代が参加する必要があるが、仕事や転居などで参加できず、世代間の断絶が広がっていった。無形文化財は一度途絶えると復活するのは難しい」と頭を抱える。府文化財保護課は「できれば継承していただきたい。何らかの施策を打てないか従来から検討しているが、各地域ごとに抱えている問題はさまざまで、どういった施策が有効かは考えあぐねている」と話した。