耕作放棄茶園の葉で作った白茶

耕作放棄茶園の葉で作った白茶

耕作放棄茶園で茶葉を摘む「茶源郷まつり」企画委員のメンバーら(京都府和束町原山)

耕作放棄茶園で茶葉を摘む「茶源郷まつり」企画委員のメンバーら(京都府和束町原山)

 耕作放棄茶園から茶を摘み、微発酵茶「白茶」を作る取り組みを京都府和束町の茶農家らが進めている。美しい茶畑景観が注目される同町だが、茶農家の高齢化や後継者不足で耕作放棄茶園は拡大している。地域課題に目を向け、新たな動きにつながるようにとの願いを込め、11月2、3日に同町の「茶源郷まつり」で白茶を振る舞う。

 茶源郷まつり企画委員で茶農家の今西哲也さん(37)や吉田恵さん(37)=いずれも同町=を中心に企画した。100カ所から茶を作ることを目指して「百茶プロジェクト」と銘打ち、耕作放棄茶園での茶摘みを町内に呼び掛けた。

 宇治茶の主産地として知られる同町だが、町によると、茶農家数はこの10年間で約100戸減少し、283戸(2018年度)になった。耕作放棄地は10年前の約9・4ヘクタールから18年度は38・5ヘクタールにまで拡大。特に、再び畑に戻すのが困難なほど荒れている茶園が増えているという。

 茶園では収穫時期や品質をそろえるために同じ遺伝子を持つ挿し木の育成が一般的になったが、耕作放棄茶園には古くからある種子で育て今では希少な「在来種」も残っている。一つ一つ遺伝子の違う在来種の市場価値が下がったことも放棄された要因とみられる。ただ、在来種は育つ環境ごとに個性ある味わいが楽しめるという。

 また、耕作放棄茶園は自然と無農薬栽培になっており、肥料がなくても発酵茶として良い味わいになることから、陰干しするだけでできる白茶を作ることにした。今年は町内20カ所ほどの耕作放棄茶園や、農家に残る古い茶の木から収穫した茶を白茶として茶源郷まつりで振る舞う。

 今回のプロジェクトについて「既存のマーケットでは価値の無いものでも、価値あるものに変えられる」と今西さん。茶業の課題と向き合う方法も発想が大切だと考える。「新しいアクションが必要な中で、何かに気付くきっかけになれば」と期待を込めている。

 茶源郷まつりは同町白栖の和束運動公園一帯で午前10時(3日は同9時)から午後4時。お茶を使ったグルメや世界の茶が楽しめる屋台などが出店する。