競泳女子の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを公表したのをきっかけに、日本骨髄バンクへのドナー(提供者)登録が増えている。

 2月の登録者数は1万1662人となり、月間の登録者数としては初めて1万人を超えた。月間の登録者数は通常2千~4千人程度だから急増といっていい。

 白血病などの血液疾患を抱える多くの患者が、正常な造血機能を回復させるため骨髄や末梢(まっしょう)血幹細胞の移植を必要としている。

 そのためには患者とドナーの白血球の型が適合しなければならないが、確率は血縁者間でも4分の1、それ以外は数百~数万分の1と低い。患者を救うには一人でも多くのドナー登録が必要だ。

 移植への関心の高まりをドナー不足解消につなげたい。

 国内では毎年約1万人以上が白血病や再生不良性貧血、悪性リンパ腫などの血液疾患を発症している。そのうち骨髄バンクを介する移植を必要とする患者は2千人ほどだ。

 骨髄バンクへのドナー登録者の総数は、2月末時点で50万3883人と初めて50万人を上回った。うち京都は1万9252人、滋賀は5706人だ。

 ただ、登録できるのは18~54歳で、実際に提供できるのは20~55歳に限られる。このため毎年2万人ほどが外れており、若い人の登録をどう増やしていくかが課題だ。

 日本骨髄バンク広報渉外部によれば、バンク事業をすることで今では白血球の型が適合するドナーが見つかる割合は95%を超えるが、実際に移植を受けられるのは6割ほどという。

 適合しているのに移植に至らないのは、ドナー側の都合が多い。健康上の理由に加え、仕事を休めなかったり、本人に不安や迷いが生じたり、さまざまな事情があるようだ。

 ドナー候補になれば、骨髄移植の場合、事前の検査や骨髄液の採取などで8日前後の通院や入院が必要になり、採取による痛みや副作用が一時的に出ることもある。さらに休暇を取れるかという問題や、自営業者やパート従業員は仕事を休むことによる収入の減少も切実だろう。

 ドナー登録を増やすには、そうした移植に伴う身体的、経済的な負担にできるだけ配慮し、骨髄などの提供をしやすい環境にしていく必要がある。

 京都府は、バンク事業の普及啓発を進める一方、市町村への補助を通じてドナーの通院、入院にかかわる負担軽減を図っている。昨年は府内の全市町村が実施した。

 安倍晋三首相は2月の予算委員会で「2019年度からドナー休暇制度の導入を企業に働きかける活動を支援する」としたが、もっと積極的に導入企業への優遇措置などを検討してはどうか。

 加えて、赤ちゃんのへその緒や胎盤から採取する臍帯血(さいたいけつ)の移植推進に向けた取り組み強化も欠かせない。骨髄バンクのようなドナー登録制度はないが、今では血液疾患治療の重要な選択肢となっている。

 国、自治体、企業が連携し、命を支え合う輪を広げたい。