レトロなたたずまいに全国から銭湯ファンが訪れる櫻湯(京都府福知山市西長)

レトロなたたずまいに全国から銭湯ファンが訪れる櫻湯(京都府福知山市西長)

 レトロなたたずまいから全国の銭湯ファンの間でも人気だった、京都府福知山市西長の「櫻湯」が、31日をもって閉店する。施設の老朽化で店を維持していくことが困難になり、庶民の憩いの場として100年以上続いたのれんを下ろすことになった。

 櫻湯は、市中心部の新町商店街近くにあり、1904年に創業。湯船まわりを腰かけ段が取り巻く大阪様式と、華やかなタイル張りが特徴の京都様式が折衷し、浴室は創業時のしつらえを保ってきた。市内では大型の入浴施設を除いて唯一の銭湯だった。
 近年は、銭湯愛好家らでつくる「チーム櫻湯」がTシャツや缶バッジなどを作り、収益金を施設の修繕に充てたり、地域住民らで傷んだ浴室の壁を塗り替えたりしてきた。
 しかし、ボイラーや配管施設の老朽化が進み、お湯が出なくなるトラブルも抱えるようになり、閉店を決断した。父親から店を引き継いだ店主の井川精一さん(74)は「古いものを維持していくのが大変だった。これまで一生懸命やってきたが続けていくことは難しい」と言う。
 閉店を耳にして神戸市から訪れた男性(48)は「こぢんまりとした雰囲気や、浴室の水色の壁がかわいらしくて好きだった」と残念そうに話す。
 井川さんは半世紀を共に歩んだ櫻湯の歴史を振り返り「北海道から来てくれた人もいた。長く続けられてきたのはお客さんのおかげ。ありがとうと言いたい」と語る。施設の今後については未定という。