強い毒を持つ特定外来生物のヒアリが東京港青海ふ頭で定着した可能性が高いとの分析を、国の防除に携わる国立環境研究所がまとめた。

 国内の他の発見例と異なり、巣の中で成長したとみられる女王アリが50匹以上も見つかった。一部は別の場所に拡散した恐れがあるという。

 いったん定着を許せば膨大な費用をかけても根絶は難しく、日常生活や農業などに大きな被害が出ることが懸念されている。官民挙げて対策を強めたい。

 ヒアリは南米原産で、海外からの輸入コンテナにまぎれて侵入することが多い。20世紀前半に米国に広がり、今ではオーストラリアや中国、台湾などにも生息する。

 国内では2年前に兵庫県尼崎市の港で発見されて以来、港湾部を中心に14都道府県で確認され、京都府内でも向日市の倉庫会社で見つかっている。

 だが、今回ほど多くの女王アリが確認されたことはなく、政府も「これまでとは次元の異なる事態」(菅義偉官房長官)と危機感を強めている。

 ヒアリの毒針で刺されると激しい痛みがあるが、命にかかわることはごくまれなので、過剰に恐れる必要はない。ただ、強いアレルギー反応によるアナフィラキシーショックで呼吸困難などを起こす人もいるから注意が要る。

 問題は繁殖力が強く、市民生活だけでなく、農作物や家畜に被害を与えたり、電気設備を故障させたりすることだ。米国では年間5千億~6千億円の経済被害があるとされる。

 女王アリは繁殖期になると巣を飛び立ち、移動先で新たな巣を作るため、早期の発見と駆除が定着阻止の鍵になる。

 環境省は青海ふ頭の防除と周辺地域の調査、全国の水際対策の強化などを進めて定着を阻止する考えだが、港湾関係者や物流業者など民間の協力も欠かせない。

 市民もヒアリらしきものを見つけたら、環境省の「ヒアリ相談ダイヤル」や自治体にすぐに連絡することを心がけたい。殺虫剤をむやみに使うと、ヒアリの定着を抑える在来アリまで殺しかねないので気をつけることも大事だ。

 ヒアリが侵入した国で唯一、阻止に成功したニュージーランドでは、巣の半径2キロの範囲の土砂や干し草の移動を禁じるなどし、徹底的な調査と駆除で根絶したという。初期対策の大切さを肝に銘じたい。