疑惑が解明されぬまま幕引きは許されない。国民のそんな思いに沿った判断ではないか。

 学校法人「森友学園」を巡る国有地売却と財務省の決裁文書改ざん問題で、大阪地検特捜部が不起訴とした佐川宣寿前国税庁長官らについて、大阪第1検察審査会は「不起訴不当」と議決した。

 検審は文書改ざんについて「一般市民感覚からすると、いかなる理由があっても許されず、言語道断の行為」と痛烈に批判した。

 国有地を8億円余り値引きし売却した背任容疑についても、検察側の結論に「相当の疑問が残る」とし、「法廷で事実関係を明らかにすべく、公訴を提起する意義は大きい」とまで言及した。

 森友学園問題は2017年2月に判明した。安倍晋三首相の妻昭恵さんが名誉校長に一時就任していたことから、官僚による政権への忖度(そんたく)疑惑が浮上した。

 佐川氏は国会答弁で森友側との事前の価格交渉を否定したが、交渉をうかがわせる内部文書や音声データが明らかになった。

 刑事訴追の恐れを理由に口を閉ざした佐川氏は、一方で首相官邸の関与を否定した。違和感を抱いた人も多かっただろう。

 問題判明から2年余り。だが、疑惑は晴れないままである。議決からは、こんなことがまかり通ってはならないという審査員らの強い危機感がうかがえる。

 議決を受けて特捜部は再び捜査に乗り出す。ただ、強制起訴につながる「起訴相当」ではないので、再び不起訴となった場合は捜査は終結する。

 起訴相当とならなかったのは、捜査が不十分で、起訴を判断できるレベルに達していなかったというだけのことではないか。

 検察の不起訴理由にことごとく反論しており、8億円値引きの根拠になったごみ撤去費についても他の業者などの意見も参考にした客観的な試算を求めた。

 逮捕するためにさまざまな罪名が検討された学園前理事長籠池泰典被告らの捜査とは、あまりにも対照的である。捜査が消極的だったと指摘されても仕方ないだろう。

 検察には国民の厳しい目が注がれている。権力への「及び腰」が疑われるようなことはあってはならない。

 起訴しない理由を探すことに腐心するのではなく、求められる捜査を尽くしてほしい。今回の議決は、公平公正な司法への信頼を取り戻すチャンスにもなるのではないか。