東京パラリンピックに向けて期待を語る谷垣氏(東京都世田谷区)

東京パラリンピックに向けて期待を語る谷垣氏(東京都世田谷区)

世界環境デーにちなんだ自転車活用議連のイベントに参加した谷垣氏(2006年6月5日、国会議事堂前)

世界環境デーにちなんだ自転車活用議連のイベントに参加した谷垣氏(2006年6月5日、国会議事堂前)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京パラリンピックが24日に開幕。5年前の自転車事故で障害者となり、東京都のパラ有識者懇談会で名誉顧問を務める元自民党総裁の谷垣禎一氏(76)に、東京五輪の振り返りやパラへの期待を聞いた。

 -閉幕した東京五輪をどのように見たか。

 「大きな混乱がなく、日本選手のメダルラッシュもあり、良かった。『感染拡大が続いている時にやるのか』と不安を持つ人も少なくなかったが、何かと自粛を求められて社会に閉塞感が漂っており、選手の活躍を見て盛り上がった国民も多かっただろう」

 -大会前には中止を視野に入れた議論が起こった。

 「どうすれば開催できるかを追求することが一番大切だと考えていた。一方で、東京都や大会組織委員会、政府は、中止を決断する場合の手続きなども想定しておく必要があると思いながら議論を見守った。菅義偉首相が開催の決断をされたが、その是非を判断するには時間が必要だ」

 -国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢などが批判された。

 「IOCの商業主義に批判が集まったが、難しい問題だ。五輪はアマチュア選手の大会だったが、近年はプロも参加している。民間の活力が積極的に関与することでスポーツの発展に貢献したのも事実だ。政治も含め、スポーツ振興にどのような役割を果たすべきか、今後も考える必要がある」

 「『復興五輪』という当初の理念が消えたともいわれる。確かに招致段階から復興を前面に出して準備を進めてきたが、コロナへの対応でそうとばかりいっていられなくなった。それでも、大会中に何とか復興を演出しようとしていた」

 -パラリンピックは日本に何をもたらすと思うか。

 「1964年の東京パラリンピックは、障害者に対する日本人の考え方に画期的な変化を与えた。観客が見ている中で活躍し、明るく振るまう欧米選手の姿に日本人は驚き、障害者も社会の一員だという当たり前の認識が広がった。今大会でも、障害者のスポーツや社会的な対策に好影響を与えてほしい」

 「私は自転車事故で頸椎(けいつい)を損傷したことで自律神経の機能が低下し、発汗による体温調節がうまくできない。パラリンピックには私のような選手も多く出場する。感染症とともに、熱中症対策にも万全を期してほしい」

 -パラも無観客開催となる。

 「一般客が入場できないのは残念だが、生で観戦できる子どもたちには選手が頑張っている姿をしっかり見てほしい。一部の競技が初めてテレビで生中継されることも意義深い。私も含めてリハビリに励む人たちが、選手たちの活躍を見ることで『自分にもできる』と思う機会が増える。そうした機運によって障害者の社会参画が拡大すれば、大会の意義がより高まる」

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 たにがき・さだかず 1945年生まれ。東京大法学部卒。弁護士を経て、衆院議員だった父専一氏の死去を受けて83年に旧京都2区の補選で初当選。自民党総裁などを歴任。党幹事長だった2016年、サイクリング中に大けがを負って17年に政界引退した。19年5月から、パラリンピックに向けた東京都の有識者懇談会の名誉顧問を務める。