宴会場にアクリル板を設置するなど感染対策を講じるホテル本能寺(京都市中京区)

宴会場にアクリル板を設置するなど感染対策を講じるホテル本能寺(京都市中京区)

修学旅行生の利用が多い大部屋。コロナ禍で需要が落ち込んでいる(京都市中京区・旅館こうろ)

修学旅行生の利用が多い大部屋。コロナ禍で需要が落ち込んでいる(京都市中京区・旅館こうろ)

 新型コロナウイルスの感染「第5波」が猛威を振るう中、京都府は4度目となる緊急事態宣言期間に突入し、観光需要の回復期待はさらに遠のいた。苦境が続く宿泊施設の中でも修学旅行生ら団体客を多く受け入れてきた旅館のダメージは特に大きく、業界では最大の需要期である秋の観光への影響を懸念する声が上がる。

 「ここ数日で宿泊予約のキャンセルや延期が増えている」。京都市中心部で「旅館こうろ」(中京区)を運営する北原達馬社長は、こう声を落とした。

 旅館はコロナ禍に見舞われた昨春以降、繰り返される緊急事態宣言に翻弄(ほんろう)されてきた。中でも影響が大きいのは、収益の大半を占める修学旅行の動向だ。春のピークとなる今年5~6月は3度目の宣言期間と重なったため、平年は月10校を超える宿泊予約が数校に激減した。

 感染が落ち着いた7月下旬の連休には宿泊客が一時的に戻った。しかし秋に向けた準備を本格化した直後、再びの宣言発令となった。「9月は修学旅行の予約で満室だったが、現時点でキャンセルが4割になった。このままでは秋の需要も望めない」。北原社長は、宿泊の一時休業も検討し始めた。

 旅館業界の苦しさは深刻だ。京都市観光協会の調査によると、市内の旅館32軒の客室稼働率は3度目の緊急事態宣言が発令された4月が3・9%、5月は3・0%まで低迷。6月は修学旅行が一部再開され、11・2%に持ち直したものの、20%前後のホテルと比べてもさらに厳しい。

 足元で逆風はさらに強まる。感染力が強いデルタ株の流行で全国の感染者数が連日最多を更新し、大阪府の吉村洋文知事や東京都の小池百合子知事らが、相次いで修学旅行の中止や延期を求めた。

 関東から多くの学校を受け入れている大型旅館「ホテル本能寺」(中京区)の小林訓支配人は「感染状況を考えれば緊急事態宣言発令はやむを得ないが、いつも発表はぎりぎりでいきなり始まる。学校側も実施の判断が難しく、経営への影響が大きい」と対応に苦慮する。

 昨秋は国の観光喚起策「Go To トラベル」の効果もあり、京都は大勢の人でにぎわったが、事業の再開はいまだ見通せない。「秋以降は何とかお客さんを迎えたい。宣言は今回で最後にしてほしい」。小林さんは祈るようにつぶやいた。