延暦寺境内に常設されている自動放水銃(大津市)

延暦寺境内に常設されている自動放水銃(大津市)

 「人ごとではない」。那覇市の首里城火災は、滋賀県内の文化財関係者にも衝撃をもって受け止められた。出火原因はまだ特定されていないが、秋の観光シーズンで電気設備を使う催しを企画している社寺もあり、関係者は気を引き締める。観光資源などとしての文化財活用を国が後押しする中、専門家は活用に伴うリスク管理の必要性を指摘する。

 源氏物語ゆかりの石山寺(大津市)の責任役員鷲尾龍華さん(32)は、自身も首里城を2度訪ねたことがあるという。「2千円札の表裏に首里城と源氏物語が描かれており、縁を感じていた。文化財というだけでなく、いろんな人の思いがあって再建された貴重な施設が焼けて残念」と惜しんだ。
 湖東三山の一つ、百済寺(滋賀県東近江市)は11月中旬から庭園のライトアップを予定している。電気工事の安全管理を徹底するとともに、冬に向けて暖房器具を使う頻度も増えることから「細心の注意を払いたい」と濱中亮明住職(75)は気を引き締める。天守が国宝に指定されている彦根城(同県彦根市)では月に2度、城内の火災報知器や消火栓の作動確認をしている。
 首里城と同じく世界遺産の比叡山延暦寺(大津市)は31日、境内のイベントに関わる民間業者に対し、防火を呼び掛ける通知を出した。
 国宝・根本中堂をはじめ山中に数多くの文化財が点在する同寺では、2千トンの防火用水タンクを山頂付近に備え、火災発生時に作動する自動放水銃などを各所に常設している。ふもとの市消防局が到着するまでに30分近くかかるため、寺の職員らによる自衛消防隊も組織し、自前の消防車を所有して備えている。
 小鴨覚俊教化部長(51)は「重要なのは初期消火。即座に対応できるように職員の意識付けも欠かせない」とする。「広い山中のため、どこから出火したり不審者が入ったりするか分からない。日頃の巡回なども徹底したい」と話した。