スギ花粉エキスの詰まった薬液を毎日口に入れる舌下免疫療法

スギ花粉エキスの詰まった薬液を毎日口に入れる舌下免疫療法

卵に含まれる抗体が花粉症治療に効果があるとされるダチョウ

卵に含まれる抗体が花粉症治療に効果があるとされるダチョウ

花粉症対策グッズの中で1番人気の色とりどりのマスク(京都市下京区・東急ハンズ京都店)

花粉症対策グッズの中で1番人気の色とりどりのマスク(京都市下京区・東急ハンズ京都店)

 春本番を迎え、今まさに猛威を振るっているのが花粉症。鼻水やくしゃみが止まらなかったり、目がかゆかったり…。日本人の3人に1人がかかっているともいわれる「国民病」の対策の現状を取材した。

 ■3年間続け体を慣らす

 市販薬での対症療法では効果が低いスギ花粉の重症患者には、スギ花粉エキスが詰まった薬液や錠剤を毎日、口に含む「舌下免疫療法」が注目を集めている。3年間続けることで徐々に体を慣らし、花粉症に対する過敏性を減らしていく。根気のいる治療だが、2014年に保険適用され人気に火がついた。

 京田辺市の浜耳鼻咽喉科医院によると、1年で3割、3年で8割の患者に効果が見られ、ヒノキの花粉症にも効く場合がある。花粉エキスを注射で体内に取り込んでいた従来の免疫療法に比べ、副作用の発症もまれだという。今では9割の患者が同療法を選ぶといい、浜雄光院長は「時間は掛かるが、3~5年服用し続ければ効果も長引き、再発を抑えられる」と話す。

 ■ダチョウ卵に抗体完治への夢

 「ダチョウは花粉症患者の希望になりうる」。そう力説するのは、京都府立大(左京区)生命環境学部長の塚本康浩教授だ。人体にはないさまざまな免疫を持つダチョウの抗体を活用し、花粉症を治す研究を進めている。

 塚本教授は、ダチョウの抗体の研究を20年前に始め、花粉のアレルギー物質を不活性化する効果があることを突き止めた。ダチョウの卵から大量の抗体を抽出・利用し、花粉症対策のマスクやあめ、スプレーとして商品化している。

 さらに、ダチョウの抗体を口から摂取し続けると、花粉への過剰なアレルギー反応を体の免疫が忘れ、完治につながる可能性があることが分かってきたという。アレルギー源を毎日取って体をなじませる免疫療法とは真逆の発想だ。4年後の医薬品認可を目指し実験に励む。塚本教授は「近い将来、日本人が花粉症から自由になれる日が来るかもしれない」と夢を描く。

 ■マスクはデザインや機能性重視

 4550円―。最も患者数が多いとされるスギ花粉の対策に、個人が使う平均費用を市場調査会社が1月に調べたところ、こんな数字が浮かび上がった。対策グッズや医薬品など「花粉症市場」には近年、デザインや機能性を重視した商品が続々と登場している。

 京都市下京区の生活雑貨店「東急ハンズ京都店」では、黒やグレー、黄色など17色の種類があるポリウレタン素材のマスクが飛ぶように売れている。伸縮性があり顔にフィットしやすく、売れ行きは前年同期比で7割以上に。一度使ったマスクを保管する抗菌ケースも新たに売り出され、かわいらしいキャラクターが描かれていて女性客に好評だ。

 ドラッグストアにも対策用品がずらり。京都府内に57店舗を展開するシミズ薬品(本社・同区)によると、価格が割高でも効き目が強く、眠気などの副作用も出にくいタイプの飲み薬が特に売れ筋という。