花畑に設置されたミレーの絵画「晩鐘」をイメージしたかかし2体(手前)。右端に立っているのが制作者の川戸さん=京都府京丹後市丹後町此代

花畑に設置されたミレーの絵画「晩鐘」をイメージしたかかし2体(手前)。右端に立っているのが制作者の川戸さん=京都府京丹後市丹後町此代

 丹後半島の景勝地・丹後松島一帯の海が見渡せる国道178号沿いの京都府京丹後市丹後町此代の花畑に、今年も野良着を着せた人間そっくりのかかしが登場した。3年前から毎年かかしを設置している女性は「花畑もかかしも、今年が最後」と心に決め、「見て楽しんでくださる人や、花畑やかかし作りを手伝ってくれた友人たちに感謝している」と話している。

 近くの主婦川戸和子さん(72)は、17年前に自宅近くの休耕田を借りて、「盆に帰省した人がほっとするように」と、約4アールの畑に11種類約5千株の花を育ててきた。2018年5月に心臓弁膜症を患い、同年9月に手術を受けることになった。

 「生きて帰れないかも」と思った川戸さんは、手術前の8月末に、自分の分身として愛用の野良着を着せたかかしを花畑に設置した。知人の中には、かかしを川戸さんと間違えて、声を掛ける人も多くいたという。

 手術が成功して自宅に戻った川戸さんは再び、花畑作りとかかし作りに取り組み、19年には5体のかかしを設置した。

 西洋絵画が好きなこともあって、19世紀に活躍したフランスの画家ミレーをテーマに、昨年は代表作「落ち穂拾い」の地面に向かい手を伸ばす女性のかかし3体を、今年は「晩鐘」をイメージした向き合う姿の男女のかかし2体を設置した。

 傍らには、2体を見守るかのような座った女性のかかし1体もあり、川戸さんは「これは私です」と笑う。

 花畑とかかしの風景は地域の名所として親しまれてきたが、ここ数年、体力的に続けることがきつくなり、両方とも、今年でやめることにした。「寂しいけれど、手伝ってくれる人たちに、いつまでもお世話になるわけにもいかない」と話す。

 かかしは、花畑のシーズンが終わる11月中ごろまで設置される。