酒造りの過程で発生する香りを抽出し、炭酸水に含ませた「HAKUREI SPARKLING WATER」

酒造りの過程で発生する香りを抽出し、炭酸水に含ませた「HAKUREI SPARKLING WATER」

山本本家の純米大吟醸をベースに開発された「煎り酒」

山本本家の純米大吟醸をベースに開発された「煎り酒」

新たな調味料として発売された「英勲 料理梅酒」(京都市伏見区・齊藤酒造)

新たな調味料として発売された「英勲 料理梅酒」(京都市伏見区・齊藤酒造)

 京都の酒造会社が、酒をたしなまない人に向けて清涼飲料や調味料を相次ぎ開発している。こだわりの製法や特徴を生かして生活に身近な商品を投入し、消費者層を広げる狙いだ。新型コロナウイルス禍による酒類提供の自粛要請に業界全体が苦しむ中、新たな需要創出の期待も掛かる。

 炭酸の刺激とともに果実のような華やぐ香りが口の中に漂い、鼻へ抜ける。吟醸酒のような口当たりは、ハクレイ酒造(京都府宮津市)が開発した無糖炭酸飲料水「HAKUREI SPARKLING WATER(ハクレイスパークリングウオーター)」だ。

 同社は、酒の酵母がアルコールを発出する過程で生まれる「吟醸香」に注目。酒蔵特有の天然の香りを抽出して炭酸水に含ませる技術を親会社の友桝飲料(佐賀県小城市)と共同開発した。

 「新たな清酒ファンの発掘」を狙った商品は、アルコール飲料が苦手な人や妊婦でも楽しめるため、コロナ禍で酒類提供を見合わせる飲食店から注文が入り、発売した昨秋以降好調を維持している。

 国税庁によると、日本酒の国内出荷量は、1973年度の177万キロリットルをピークに低下し、近年は50万キロリットル前後にとどまっていた。さらなる需要縮小に追い打ちを掛けたのがコロナ禍だ。日本酒造組合中央会(東京)によると、2020年の国内出荷量は前年比1割減の41万8500キロリットルまで縮み、多くの酒造会社が経営難に直面している。

 「日々の食に息づく形で、日本酒の良さを発信することが重要になる」。主力の清酒銘柄「神聖」を手掛ける山本本家(京都市伏見区)は、純米大吟醸をべースにした調味料「煎(い)り酒」(195ミリリットル、918円)を、飲食店「そ/s/kawahigashi」(左京区)と開発した。

 煮詰めた日本酒に梅干しや昆布、かつお節、塩を加え、酸味とうま味が融合した風味に仕立てた。煎り酒はしょうゆが家庭に普及する江戸時代まで煮物や刺し身などに広く使われていた万能調味料。山本本家は焼き魚やあえ物、ドレッシングなどのレシピも公開したところ、一時は生産が追いつかなくなるほど人気を集めたという。

 齊藤酒造(伏見区)も、自社の主力銘柄を冠した新たな調味料を今春から立て続けに発売した。自社の醸造酒を使い、梅の風味を高めた「英勲 料理梅酒」(720ミリリットル、990円)と、香草を漬け込んだ「英勲 香草料理酒」(300ミリリットル、880円)で、いずれも料理酒として開発した。同社は「新型コロナで環境が激変したからこそ、お酒の新たな価値を示すことが求められている」と受け止める。