かどやの回転焼き

かどやの回転焼き

熟練の手つきで回転焼きを焼き上げる山田さん(綾部市青野町)

熟練の手つきで回転焼きを焼き上げる山田さん(綾部市青野町)

 大型スーパーや大手飲食チェーン店など商業施設が並ぶ京都府綾部市の一角に、昭和の面影を残す回転焼き屋が店を構える。赤いのぼりにのれん、小さなカウンターの奥では、「回転焼 かどや」の山田泰子さん(71)が回転焼きを作り続ける。生地の焼ける甘い香りが、虫を誘う明かりのように通行人を引きつける。


 仕込みは午前4時半ごろから。大きめの鉄板に、手早く生地を流し込み、焼き上げる。具は小豆のあんやクリーム、季節によってはイチゴやクリ。どこか懐かしい、優しい甘さが広がる。できたては外がさくさく、冷えてももっちりした食感で楽しませてくれる。


 先代夫妻が始めた店は、今年で64年目。8年前に亡くなった夫・輝夫さんと出会ったのも、回転焼きを買いに訪れたことがきっかけだった。生地の調合やあんの炊き方、作り方は先代の背中を見て覚えた。36年前、青野町の商業施設開発を機に移転を勧め、自身が店を継いだ。


 「あの時初めて、自分の主張をした。お客さんの前に立つようになって、ずいぶんおしゃべりになった」。今では買い物客との会話もやりがい。男の子が来れば、息子を思う感覚でおまけをつける。会話を楽しみに来る常連も多い。「もうけは別にいい。『はー楽になった』と言ってくれれば、私もエネルギーがもらえる」


 客の増える冬場が本番。「秋からは3倍は働かなくちゃ」。変わらぬ味を求めるお客さんのため、1日1斗(約18リットル)のあんを炊く。「この味を作ってくれた先代に、感謝やね」。軽快な手さばきで、きょうも焼き続ける。

 回転焼 かどや 綾部市青野町西ノ後43。午前9時半~午後6時半。火曜定休。回転焼きは各種1個95円。0773(42)6687。