かつてあったといわれる光明寺の伝承を調べ、本にまとめた東さん(京都府南丹市美山町大野)

かつてあったといわれる光明寺の伝承を調べ、本にまとめた東さん(京都府南丹市美山町大野)

 京都府南丹市美山町大野にかつて存在したと伝わる大寺「光明寺(光明庵)」の歴史を、地元の男性が冊子にまとめ自費出版した。男性は「古里を知るための第一のステップとして読んでみて」と話している。

 江戸後期に編さんされた丹波地域の地誌「丹波志」などによると、光明寺は807年に建立。もとは天台宗の寺院だったが、924年に菅原道真の子・慶能法師(野々村頼房)が再建し、真言宗に改宗したと伝わる。1573年に同寺の住職が法華宗(日蓮宗)に改宗し、近くに同宗の蓮乗寺が開かれたことから、1609年に廃寺となった。

 冊子「時空を越えて―ふるさとの大寺 光明庵を探す」は、蓮乗寺の総代長を昨年まで務めていた東慧さん(86)が「古里にあったという大寺の存在を次世代に伝え残したい」として、古文書などを基にまとめた。

 冊子では「光明庵跡はどこ」「大野にはいつごろから人が住んでいたか」など、10の「なぜ?」を切り口に、光明寺と地域にまつわる歴史を紹介。慶能法師が還俗(げんぞく)したのち、33村を治める野々村庄の庄主になったことや、1488年から400年にわたって続いた、近隣の村同士の土地争い「奈良井山騒動」の経緯も取り上げる。

 東さんは「1200年前の幻の寺には分からないこともあるが、本をきっかけに歴史の夢とロマンを感じてほしい」と話している。

 冊子は四六判81ページ。200部作成し、地域に配布した残りの120部を希望者に提供している。