あと半年を切った10月の消費税増税の景気対策で、政府は市区町村が発行するプレミアム付き商品券の詳細を決めた。

 低所得者に加え、0~2歳児のいる子育て家庭の世帯主向けとしていた対象を、9月末時点で3歳半までの子どもに拡大した。

 対象は約50万人増えて約2450万人に達する見込みだ。関連費用は約1800億円で、事務費が約3分の1を占めるという。

 対象の増加で、交付作業に関わる自治体職員の負担が増えるのは間違いない。さらに一部の対象者について購入手続きの複雑さが浮かび上がった。

 肝心の消費の押し上げ効果については限定的だとの指摘がある。もともと買う予定だったものに使われる可能性が高いからだ。

 問題点ばかりが目に付く。「選挙対策のばらまき」と批判されても仕方ないのではないか。

 商品券は地元の商店などで使え、2万5千円分の券を2万円で買える。その場合、5千円が国からの支援分となる。

 対象となる子育て世帯について、政府は0~2歳児のいる家庭と説明していた。

 事務作業の都合で2016年4月2日~今年6月1日に子どもが生まれた家庭に変更。その後、不公平感が生じるとして今年9月末までに急きょ拡大した。

 公平性への配慮は大事だが、あまりにも目まぐるしい変更ぶりに制度設計の不十分さがうかがえる。地域振興券など過去の同様の政策を検証し、反省を踏まえた上での導入には見えない。

 14年度に行われた商品券事業での消費押し上げ効果は、民間の試算では予算の3分の1から4分の1にとどまるという。実効性が乏しい政策をなぜ繰り返すのか。納得のいく説明もない。

 特に手続きが複雑になるのは、住民税非課税者が購入する場合だ。住んでいる市区町村に申請して審査を受ける必要があり、使い勝手の悪さが懸念される。

 社会保障制度を維持するには、財源の確保は欠かせない。そのための消費増税のはずなのに、ポイント還元策も含めた景気対策の大盤振る舞いは本末転倒である。

 景気の後退が鮮明になりつつあり、増税に対する国民の反発は高まる可能性もある。

 政府に求められるのは、その場しのぎに対応策を弄(ろう)することではなく、将来不安を解消するための道筋を国民にしっかりと示すことではないか。