欧州連合(EU)離脱を巡り迷走を続ける英国の行方が、再び有権者に託されることになった。

 2022年の予定だった総選挙を12月12日に前倒しする法案を下院が可決した。上院の承認と女王の裁可を経て成立し、今月6日に解散する。

 僅差で離脱が決まった16年の国民投票から約3年半。世界経済や日本企業にも影響を及ぼす離脱問題の決着につながるか注目される。

 この間、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理の在り方など、離脱に伴うさまざまな問題点が明らかになってきている。

 総選挙は離脱を問い直す機会としてほしい。国民投票の際には、誤った情報に基づいて国民を誘導したと批判された。17年6月の前回総選挙でも、離脱の影響について議論は深まらなかった。

 与野党内には離脱についてさまざまな考え方がある。予想されるメリットやデメリットなど判断材料となる情報を整理し、有権者に選択肢を示さなければならない。たとえ不利なことでも誠実に提供する姿勢が求められる。

 その上で、英国民には冷静に判断してほしい。

 総選挙実施が決まるまで紆余(うよ)曲折があった。与野党が合意した背景には、長期混迷の最大の要因が「議会のまひ状態」(ジョンソン首相)だとの共通認識がある。打開には議会構成を一新するしかないとの思惑が一致した。

 混迷が続く中、英経済は疲弊している。英国で製品をつくりEU全域で販売している外国企業は生産拠点の移転を始め、日本企業も例外ではない。

 企業が投資を控えるなどし、国内総生産(GDP)成長率にも影響している。先行きへの不安感は広がる一方のようだ。

 総選挙による混乱収束に期待が高まるが、打開の糸口となるかどうかは見通せない。

 ジョンソン首相率いる少数与党の保守党が過半数を獲得し、新たな延期期間の来年1月までに離脱を実現できるかが焦点だ。
 一方、最大野党の労働党をはじめ野党は国民投票再実施で足並みをそろえる。だが離脱撤回を訴える党や、EUとの緊密な関係を保った離脱を求める党など主張が分かれている。

 世論は二分されたままだ。与野党が拮抗(きっこう)すれば、さらなる混乱に拍車がかかる恐れもある。

 針路を明確に示すことができるか、責任は大きい。