キンタロウを抱き、ゲンタロウをなだめるゲンキ=京都市動物園提供

キンタロウを抱き、ゲンタロウをなだめるゲンキ=京都市動物園提供

児童書「ゴリラのきずな~京都市動物園のゴリラファミリー観察記」を手にする長尾さん。表紙などのイラストも自身で手掛けた(京都市左京区・市動物園)

児童書「ゴリラのきずな~京都市動物園のゴリラファミリー観察記」を手にする長尾さん。表紙などのイラストも自身で手掛けた(京都市左京区・市動物園)

 京都市動物園(左京区)で飼育するニシゴリラの家族を紹介した児童書「ゴリラのきずな~京都市動物園のゴリラファミリー観察記~」を園職員が出版した。4頭の個性や成長ぶり、家族での役割などを豊富なエピソードとともに分かりやすくつづり、著者は「ゴリラは親しみやすく、家族や仲間を大切にする動物。学べることがたくさんある」と思いを込める。

 著者は2007年~13年にゴリラの飼育員だった園総務課企画調整係長の長尾充徳さん(58)。園では現在、父モモタロウ(21)、母ゲンキ(35)、長男ゲンタロウ(9)、次男キンタロウ(2)の4頭が暮らす。長尾さんは11年、国内生まれのゴリラ同士から初めて誕生した、ゲンタロウの世話に深く関わった。

 本書では、長男、次男の子育てについて詳しく説明した。初産のゲンキに赤ちゃんの映像を事前に見せたり、ぬいぐるみを使って抱き方を教えたりと、「お母さんになる大作戦」を実行。ゲンタロウは無事生まれたが、母乳があまり出ないゲンキに代わり、長尾さんらが人間用の粉ミルクで育てることに。「悲しみと怒りで叫ぶゲンキに申し訳なく、ずっと葛藤があった」が、約10カ月後、母に返すことができた。

 次男キンタロウが生まれた時には、ゲンキが何カ月も離さず抱き続けるなど、子どもたちが安心できる「安全基地」の役割を果たす母の姿を紹介。父モモタロウも虫や雨が苦手な半面、怒る時の声の出し方や屋舎の見張りなど子どもにとって「憧れの存在」になっている、と書く。

 この他、「ンッ、ンーン」というゴリラ語のあいさつや、「クッ、クッ、クッ…」と笑うことをはじめ、ゴリラの知られざる一面を記した。かつては甘い果物類を多く与えていたが、野生にならって木の葉や牧草といった健康的なメニューに変更するなど、園の取り組みも伝える。

 長尾さんは「ゴリラは人間に似ていて面白い。自分の家族と照らし合わせてみたり、野生について考えたりするきっかけになれば」と話す。くもん出版刊。A5判、128ページ。1540円。