京都大

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 ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った「腱(けん)」の細胞をアキレス腱が切断されたラットに移植したところ機能が回復したと、京都大iPS細胞研究所のチームが31日発表した。腱断裂に対する再生医療や腱細胞に関連する遺伝子疾患の研究へ応用が期待できる。成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズにこのほど掲載された。

 腱は筋肉が伸び縮みする力を骨に伝える役割を果たすが、血流が少ないため損傷しても治癒が難しい。患者自身の腱を使った再建術では再び受傷する率が高く、腱細胞の移植は十分な量の確保が困難など、従来の手法には課題がある。

 同研究所の池谷真准教授と中島大輝・元研究員らは既にヒトiPS細胞から腱細胞を作ることに成功していたが、今回はより移植に適した条件で高効率に腱細胞を作製した。左後ろ脚のアキレス腱を断裂したラットに、約300万個の腱細胞を移植したところ移植しなかった場合と比べ歩行機能と腱の強度が早期に回復した。移植から4週間後もiPS細胞由来の腱細胞は移植部位に残り、成長因子を分泌して回復を促していた。

 池谷准教授は「今後、さらに長期にわたる経過観察やアキレス腱以外の腱障害への応用を検討したい」と話した。