比叡山焼き打ちの犠牲者を弔う「元亀兵乱殉難者鎮魂塚」。信長ら織田軍の戦没者も慰霊されてきた(大津市坂本・延暦寺)

比叡山焼き打ちの犠牲者を弔う「元亀兵乱殉難者鎮魂塚」。信長ら織田軍の戦没者も慰霊されてきた(大津市坂本・延暦寺)

 天台宗総本山・延暦寺(大津市)が、織田信長による「比叡山焼き打ち」から450年の節目を迎える今月、初めて信長と明智光秀の子孫を比叡山に招き、織田軍も含めた犠牲者の慰霊法要を行う。延暦寺は敵味方を分けない「怨親(おんしん)平等」の仏教精神で、敵とも言える信長らの供養を約30年前から毎年行ってきた。宗祖最澄の1200回忌に合わせ、さらに恩讐(おんしゅう)を越えた新しい関係を目指す。

 比叡山の焼き打ちは1571(元亀2)年9月12日、浅井・朝倉連合軍と組んだ延暦寺を信長が大軍で攻めた事件。延暦寺は1992年に国宝殿横に鎮魂塚を設けて以来、毎秋焼き打ちの犠牲者とともに信長も殉難者として慰霊してきた。

 今年は子孫の織田茂和氏と明智憲三郎氏を招いて阿弥陀堂で法要を営み、鎮魂塚で祈りをささげる。その後、両氏や延暦寺代表らでシンポジウムを開催。戦国時代の延暦寺や、織田、明智両家のその後などについて意見交換する。

 1200年大遠忌を今年迎えた最澄は「怨(うら)みをもって怨みに報ぜば、怨み止まず。徳をもって怨みに報ぜば、怨みすなわち尽(つ)く」との教えをのこした。延暦寺は、大遠忌に合わせて最澄の教えを再確認する取り組みを進める一環でシンポを企画した。

 同寺は「織田は明智に討たれ、明智も非業の死を遂げ、誰も勝者はいない。(未来を見据えた)前向きなシンポにし、新たな関係を構築する一つのきっかけにしたい」としている。

 シンポは12日午後1時半から。新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、観覧席は設けず、動画投稿サイト「ユーチューブ」の延暦寺公式チャンネルで中継を行う。