宮津市が防犯カメラを設置する予定の宮津与謝消防組合本部前の交差点(同市須津)

宮津市が防犯カメラを設置する予定の宮津与謝消防組合本部前の交差点(同市須津)

下校する児童に「おかえり」と声を掛ける「桑飼小校区子どもの命を守る会」のメンバー。児童の登下校に付き添っている(与謝野町明石)

下校する児童に「おかえり」と声を掛ける「桑飼小校区子どもの命を守る会」のメンバー。児童の登下校に付き添っている(与謝野町明石)

 京都府北部7市町のうち宮津市と与謝野町は行政設置の防犯カメラがない。同市は2019年度当初予算案に防犯カメラ整備費を計上し、運用する意向を明らかにしている。一方、同町では地域住民から「防犯カメラは必要だ」との声が上がっているものの、同町は「導入の予定はない」(防災安全課)としている。

 「事故が多発した場所には設置するべきではないか」「必要最低限の設置を早急に検討するべきではないか」。町議会3月定例会では一般質問に立った町議13人のうち3人が防犯カメラの設置を求める立場から町に見解を問うた。

 山添藤真町長は「効果を否定しているものではない」と前置きした上で「見守り活動に代表される地域コミュニティーの維持によるソフト面での防犯対策で犯罪そのものが発生しない町を目指している」と繰り返し答弁した。また「生活の監視につながる。権力の取得や行使には抑止的であるべきだと思っている」との考えを示した。

 同町では8小学校全てで登下校時の見守りが行われている。桑飼小(同町明石)の校区住民でつくる「桑飼小校区子どもの命を守る会」は通学路に立ったり登下校に付き添ったりして毎日活動する。

 市田康夫会長(75)は06年の発足以来、見守りを続けてきた。「活動を通じて子どもたちとの関係性ができた」と喜ぶ。一方で不審者の出没や車上狙いの発生も耳にするといい「監視されているようでいい気分はしないが、防犯カメラは必要なものだと思う。いかにうまく利用するかが大事なのでは」と話す。

 防犯カメラの解析を行っている立命館大理工学部電子情報工学科の山内寛紀特任教授は「犯罪発生率との関係で地方ほど防犯カメラの普及率は下がる傾向にあるが、今、捜査の厳しい都市から地方へ犯罪者が流れ込んでいることは事実」と指摘し「防犯カメラにも死角はある。見守りと併用することで相乗効果が生まれる」と説明する。

 今夏にも登場する最新型防犯カメラは映った人物をAI(人工知能)が解析して分身のキャラクターのアバターに置き換えるという。「個人が特定されず、人の集まる場所で画像を見せることで犯罪抑止効果も高まる」と山内特任教授は期待する。

 一方、防犯カメラの設置にはプライバシーの侵害など課題や懸念も少なくない。府は管理と運用に関してガイドラインを定め、設置場所や撮影範囲などプライバシーに配慮した基準を示している。府安心・安全まちづくり推進課は「有識者の意見を踏まえ、個人情報や肖像権について慎重に議論を進めた」と述べる。

 山添町長は一般質問で防犯カメラの設置に否定的だったが「基本的な姿勢は維持しながらも有用性については引き続き議論していきたい」と答えた。