滋賀県が取り組む水草刈り取り船を使った水草除去事業の様子。水草は年間約1万トン発生しているとみられる(県提供)

滋賀県が取り組む水草刈り取り船を使った水草除去事業の様子。水草は年間約1万トン発生しているとみられる(県提供)

WEF技術開発が加工した水草の粉末で染色したブラックバスの皮製品

WEF技術開発が加工した水草の粉末で染色したブラックバスの皮製品

 琵琶湖で夏場に繁茂し、生態系や水質に悪影響を及ぼすとされる水草を活用した商品開発が、活発になっている。水草をガラスや革製品の染色材料にしたり、堆肥化させ農作物の栽培に役立てたりと、幅広い分野で取り入れられている。関係企業は「琵琶湖の厄介者と扱われがちの水草の可能性を知ってほしい」としている。

 琵琶湖では、1994年の大渇水以降、南湖を中心に水草が増加。水面が水草に覆われると、水中に酸素が行き渡りにくくなったり、湖水が滞留することで悪臭が生じたりするなど、環境への悪影響が指摘されている。県によると、ここ数年は年間1万トンが発生しているとみられる。

 県は年間5千~6千トンを除去し、約2年かけて自然発酵させ堆肥化し、無料配布している。ただ、処理時間の長さや新たな活用策が課題で、県は民間企業の技術開発支援に取り組んでいる。

 大津市の環境関連会社「WEF技術開発」は昨秋、汚泥の処理技術を応用し、破砕処理した水草に活性酸素を加えて分解、乾燥させる装置を開発。処理した水草に炭や米ぬかを加え、発酵させて堆肥化を可能にした。

 今春から本格的に堆肥化事業に取り組み、地元農家がトマトやサツマイモの栽培に使うほか、自社のイチジク農園に導入した。来年からは、山田漁協(草津市)や造園会社と合同で、年間2千トンの水草を堆肥化する新たな事業も予定する。

 同社の技術で処理された水草は、ガラス工芸や革製品にも活用されている。

 大津市のガラス工房では、粉末状の水草を燃やしガラスに混ぜることで、淡い緑の色彩の作品づくりに役立てる。姫路市の皮革製造会社は、水草の炭を煮出してブラックバスの皮を赤茶色に染色。大阪市の会社などと一緒に、バスのうろこを生かした財布やキーケースを売り出す。

 WEFの青山章社長(73)は「思いもよらない活用策があって驚いた。水草を有効利用し、作物の地産地消で広まればうれしい」と期待を込める。

 長浜市の明豊建設も水草に自然由来の菌を入れて発酵させる手法を用いて、約3カ月で堆肥化する技術を確立した。「湖の恵」と名付け、2019年から販売。土壌環境が豊かになり植物が病気になりにくいという。今年2月には発酵過程で出る排水を2次発酵させたスプレータイプの植物活力液も発売。果樹園や家庭の鉢植えなどで利用されている。

 同社は「水草はごみではなく有用な資源であることを示したい。琵琶湖の環境改善につなげていきたい」としている。