都市部から過疎地域などに移住して農林漁業や特産品開発、観光資源の掘り起こしなどに取り組む「地域おこし協力隊」の活動が京滋でも広がっている。

 京都府与謝野町の隊員はビールの原料となるホップ栽培に取り組んでいる。東近江市では、元隊員らが耕作放棄地を整備して栽培した特産植物の色素を使った化粧品を開発したり、444年ぶりに復活した日本酒づくりのプロジェクトを手がけた。

 長浜市でも、元隊員たち3人による有限責任事業組合が、隊員らと協力して台風被害後の倒木撤去作業に取り組んでいる。

 外部から来た隊員らのアイデアや行動力が、地域に刺激を与えていることは間違いない。

 人口減少、若者の流出に悩む地域にとって、地元の魅力を発見して活性化につなげていけるかどうかは大きな課題だ。隊員が住民とともに充実した活動に取り組み、能力を十分発揮できるよう見守っていきたい。

 地域おこし協力隊は2009年度に総務省が創設した。当初の隊員数は89人だったが右肩上がりで増え、18年度には5300人を超えて京都府で59人、滋賀県は63人が活動した。

 受け入れる自治体も全国で約1千に達する。近年は隊員を募集する際に、自伐型林業や伝統文化の発信、老舗旅館の事業承継-など具体的な「ミッション」を示すようになった。

 応募者にとっては興味のある分野を選ぶことができ、選択の幅が広がったといえる。
 隊員の約7割が20~30歳代で全体の4割を女性が占める。任期は最長3年で、採用した自治体には、報酬と活動経費として、特別交付税の中から1人年間上限400万円が出る。

 協力隊制度は、地域協力活動を行いながら、その地域への定住や定着を図ることを掲げている。隊員となったのを契機にその後も住み続けることを期待されている。だが、任期終了後の定住率にはばらつきがある。

 総務省の調査(17年度)によると、任期終了後、ほぼ半数が赴任先の市町村に定住し、そのうち3割が起業、6割が就業・就農している。

 滋賀県の場合、東近江市は退任した9人のうち8人が定住しているが、湖南市は13人中2人にとどまる(8月1日現在)。

 自治体の中には、定住を促すため「起業支援」にシフトするところも少なくない。湖南市は17年度から、地域資源を生かした起業に上限100万円の支援金制度を設けてサポートする。京丹後市も今年、隊員向けに創業支援制度を設けた。

 ただ、起業に関するノウハウの伝授や相談体制は必ずしも十分とはいえない。支援策のいっそうの充実が求められる。

 協力隊制度のゴールは起業や定住だけではない。隊員を受け入れ、刺激し合うことで、住民の中にも地域活性化への「気づき」が生まれることが重要だ。

 地域おこしを協力隊員に「外部委託」するのではなく、ともに考える姿勢が受け入れ側には必要だ。隊員にも地域に溶け込む努力がいっそう求められる。