経済のグローバル化やデジタル化に対応した国際課税ルールを確実にまとめることができるか、重大な局面になりそうだ。

 10月に米国・ワシントンで20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。世界的に法人税率を最低15%にすることと、多国籍企業に新たな課税ルールを導入することについて、最終的な合意を目指した議論が行われる。

 1920年代以来とされる国際的な課税ルールの見直しは、多国籍企業の税逃れの防止と、国際的な税負担の公平性を高める狙いがある。

 このうち多国籍企業に対する新たな課税ルールの議論はGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などを念頭に進められてきた。

 議論を積み重ね、世界での売上高が2・6兆円超の多国籍企業の利益について、利益率10%を超えた部分を「超過利益」とし、そのうち20~30%についてサービスの利用者がいる国(市場国)による課税を認めることで一致している。

 100年前につくられた現行の国際課税ルールは「その国に企業の工場や支店などがないと課税できない」という原則に基づいている。

 一方、GAFAなどデジタル技術を駆使する多国籍企業は、インターネットを通じて国境を越えて消費者にサービスを提供し、巨額の利益をあげている。

 これらの企業の中には、知的財産や商標権といった無形資産による収入を租税回避地(タックスヘイブン)に設立した別会社に移す社が少なくなく、世界全域で課税を免れている状況が報告されている。

 実態を踏まえれば、ものづくりが産業の中心だった時代の課税ルールを見直すのは当然だ。

 ただ、新ルールが適用される企業は世界で100社程度にとどまるとみられる。デジタル多国籍企業は増加しており、対象を広げる措置が要るのではないか。

 超過利益の市場国への配分は各国での売上高に応じた額になる。市場規模は小さいが利用者が多い途上国にも適切に還元される仕組みが必要だ。

 15%の最低法人税率を導入する議論は、現行税率が12・5%のアイルランドをはじめ、低税率国が合意するかどうかが焦点となる。

 低税率国が合意しなければ、合意した国の多国籍企業が非合意国に法人登記や利益を移し課税を逃れる可能性もある。関係国は個別の利害を超えて歩み寄ってもらいたい。

 各国の間で法人税の引き下げ競争から一転、課税強化の機運が高まった背景には新型コロナウイルス対応による財政逼迫(ひっぱく)がある。

 法人税引き下げが内部留保や役員報酬の増額などに使われ、必ずしも社会に還元されていないことも指摘されている。

 米国は法人課税強化でインフラ投資を行う方針に転じた。経済成長に資するとの判断だ。

 国際的な税の公平性を前進させる好機ではないか。各国は確実な合意を目指してほしい。