昔も今も 青銅の柔らかさ

中西紗和「楽園」
中西紗和さんの作品のイメージ元となった螭文方炉(ちもんほうろ、春秋前期)

 咲きこぼれる小さな花、こちらを見つめる不思議なヒト。現代鋳金作家9人が、中国古代青銅器から受けた印象を形にした展覧会「泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲」が11日から、泉屋博古館(京都市左京区)で始まる。

 館のシンボルと呼べる青銅器、そして鋳金の技術に親しんでもらう目的で、全国の作家に出品を依頼。作家は館蔵品や青銅器館全体のイメージから独自の作品を生み出した。普段は古代の青銅器が並ぶ青銅器館第4展示室を、現代作品で埋める。

梶浦聖子「万物層累聖獣盉」
梶浦聖子さんの作品のイメージ元となった竊曲文四足盉(せつきょくもんしそくか、西周後期)

 「元々、青銅器は多くの工芸に影響を与えてきた」と山本尭学芸員は語る。殷・周代の青銅器は東アジア工芸の頂点であり、後世の模範になった。日本でも青銅器を模した陶磁器の作例が多く見られる。現代でこそ、古代遺物と見られる青銅器だが、今回展示される現代作品を見れば、その豊かな創造性から、印象が変わるに違いない。

佐治真理子「きいてみたいこと~Who are you?~」

 中西紗和「楽園」は建物をかたどった古代青銅器作品に着目し、その建物に歳月が流れて植物が生い茂る様子を表す。城戸万里子「依りどころ」は古代のつぼから花々が咲く表現だ。どの作品も優しい雰囲気を醸す。山本さんは「ロウで型を作って金属を流し込む鋳金は、金属とは思えない柔らかい表情を生み出す」と魅力を語る。

 創作の基となった古代青銅器も別室に展示する。現代作品と響き合い、古代作品にも新たな表情が生まれそうだ。

山下真守美「夜の集」
三上想「鳥の青銅花器と繋ぐ花」
見目未果「ほねを いれる ための ようき」
城戸万里子「依りどころ」
巽水幸「ふりつもることのかけら」
平戸香菜「夜霧の月」


【会期】9月11日(土)~12月12日(日)。月曜と9月21日、10月25日~11月5日は休館。9月20日は開館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】泉屋博古館(京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町)青銅器館第4展示室
【入館料】一般800円、高大生600円、中学生以下無料
【問い合わせ】同館075(771)6411
【主催】泉屋博古館、住友グループ各社、京都新聞
※本展の入場料で同時開催の下記展覧会も鑑賞できる。「木島櫻谷(このしまおうこく) 四季の金屏風(びょうぶ)-京都画壇とともに」(9月11日~10月24日)「伝世の茶道具 珠玉の住友コレクション」(11月6日~12月12日)
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会期や会場時間を変更する可能性がある。館のホームページで確認を。