新しく開発した袋で湯を沸かす山本さん。横の注ぎ口を切り取ると安全に注げる(京都市伏見区)

新しく開発した袋で湯を沸かす山本さん。横の注ぎ口を切り取ると安全に注げる(京都市伏見区)

 災害時など火が使えない状況でも湯を沸かし、食品も温められる防災用品を、京都市伏見区の企業が開発した。湯沸かしと温めの機能をまとめた加熱機器は全国初といい、防災食に詳しい専門家も「二つの機能が使えるのは画期的」と評価している。

 リモコン式の鍵などを製造する「山本商事」社長の山本潤一さん(39)が、1年がかりで作った。水に反応する発熱剤と水、食品を一つの袋に入れて加熱する防災用品は以前からあったが、発熱剤には人体に有害な成分も含まれることから、加熱する食品が発熱に使った水に触れないよう注意しなければならなかった。

 山本さんは発熱剤を入れた水と食品を分離する方法を模索。容器の形や強度など試行錯誤を重ねた末、プラスチック製の袋を二重構造にしたうえで外袋と内袋の間に発熱剤と水を入れ、内袋の中に食品を入れる方法を開発した。内袋に水を入れて10分ほどたつと90度ほどの湯が沸かせるほか、水の代わりに食品を入れると紙パック入りの飲料やおにぎりなども温められる。

 今年8月にオンラインで開かれた日本災害食学会研究発表会では、日本災害食学会顧問で甲南女子大名誉教授の奥田和子さんが製品を使った実験結果を発表。「いろいろな食材に使える点が優れている」と評価した。奥田さんは阪神大震災での被災経験もあり、「避難所は寒く、温かいお茶をどれほど望んだか」と当時を回顧。「新型コロナウイルスで炊き出しも難しい状況なので、こうした用品が広がれば」と話している。

 袋1枚と発熱剤3個などをセットにした商品「HOTPLUS」として、1680円(税抜き)で、主にネットで販売中。