2020年度からの「大学入学共通テスト」導入に向けた試行テストの結果が公表された。

 試行テストは、高校生に実際に問題を解いてもらい、作問や採点の方法などの課題を探るのが狙いだ。

 思考力や判断力を重視するために新たに取り入れられる国語と数学の記述式問題で、正答率の低さや自己採点の難しさ、採点評価のぶれの可能性などの課題が改めて浮かび上がった。

 信頼性や公平性といった、入試の根幹に関わる重要な課題だ。受験生は不安を抱き、高校の先生たちは指導に困るのではないか。

 文部科学省と大学入試センターは責任を持って解決してほしい。

 課題の一つは、記述式問題の採点が、採点者によってぶれる可能性があることだ。

 記述式問題の採点は、大学入試センターが業務委託した民間業者が行う。約6万8千人が参加した今回は、2教科で約2千人が採点にあたり、センターがチェックした。その結果、80件の採点見直しがあった。

 国語で言葉の置き換えをどのように認めるかなど、調整に手間取ったためという。

 本番は50万人超が受験し、採点者も1万人を超える可能性がある。統一した採点方法をどこまで徹底できるのか、不安は拭えない。

 国語の記述式問題では、約3割の生徒が自己採点と実際の評価が一致しなかった。自己採点は志望校選びに直結する。明確で具体的な採点基準を早急に示すべきだ。

 計3問を出題した数学では正答率が3・4~10・9%と低迷した。従来より問題の文章が増えたことなどが原因とみられる。

 大学入試センターは問題を簡潔にする方針という。だが、正答率を上げるため過度に修正すれば、記述式問題を導入した趣旨から外れかねない。

 試行テストについて同センターは「採点基準の論点は洗い出せた」としている。次はその論点をどのように本番に生かすかが重要だ。ぜひ公開し、高校にも意見を聞いてもらいたい。

 英語は24年から民間試験に全面移行する。民間試験は内容や形式が大きく違う。誰もが納得できる評価方法はあるのか。疑問は残ったままだ。

 民間試験は総じて受験料が高く、会場が実質的に都市部に偏る。家庭環境や居住地によって試験の公平性が失われる事態は絶対に避ける必要がある。