再出版されて書店に並んだ写真集「MINAMATA」(京都市南区・大垣書店イオンモールKYOTO店)

再出版されて書店に並んだ写真集「MINAMATA」(京都市南区・大垣書店イオンモールKYOTO店)

 水俣病を世界に伝えた写真家ユージン・スミスさん(1918~78年)とアイリーン・美緒子・スミスさん(71)=京都市左京区=による写真集「MINAMATA」が7日、再出版された。患者遺族の意向で長年封印してきた作品「入浴する智子と母」も掲載した。水俣病の公式確認から今年で65年ー。

 写真集の英語版は75年、日本語版は80年に出た。当時結婚していた2人が71~74年、熊本県水俣市に住み込み、患者や家族の日常のほか、メチル水銀を含む工場廃水を海に流していた原因企業チッソに対して立ち上がった人々の抗議運動や裁判闘争の様子を記録した。ユージンさんの遺作にもなった。

 中でも、母親のおなかの中で水銀を受け、生まれながらに患者だった上村智子さん(77年に21歳で死去)が母親に抱かれて入浴している姿を写した作品は、水俣病の惨禍を伝える代表作となった。一方、この写真が広く世に出回ったことで、両親から「休ませてあげたい」と申し出があり、アイリーンさんは98年以降、新たな著作物への使用を許可してこなかった。

 今回再出版された写真集は、写真のレイアウトも文章も当時のままで、アイリーンさんの書き下ろしが新たに加わった。ちょうど50年前の9月7日は夫妻が撮影のため水俣市に着いた日に当たる。帯に「過去の誤りをもって、未来に絶望しない人びとに捧(ささ)げる」というメッセージを掲げた。

 アイリーンさんは「(智子さんの)親御さんも良いと言ってくれた。これから(同作品の使用申請を)何でも受けるのかと言うと、そういうことではない」とした上で、写真集について「水俣病や、ユージンの信念を知ってもらうきっかけになれば」と話している。

 A4ワイド。208ページ。4400円。クレヴィス。

 写真集を原作とした映画「MINAMATAーミナマター」は23日から全国公開される。