「不登校や中退を経験しても、やり直せる場を作りたい」と話す渡邉さん(京都市中京区)

「不登校や中退を経験しても、やり直せる場を作りたい」と話す渡邉さん(京都市中京区)

塾では京大生(左)が講師を務め、1対1で生徒に向き合っている=渡邉さん提供

塾では京大生(左)が講師を務め、1対1で生徒に向き合っている=渡邉さん提供

 高校で引きこもりと中退を経験した後、京都大に入学した学生が、不登校・中退者向けの専門塾「re:plus(リプラス)」を京都市内で立ち上げた。周囲に支えられながら、自分なりの勉強法を見つけて難関を突破した経験を生かし、自身と似た境遇の生徒たちを支えている。

 山梨県出身で、総合人間学部3年渡邉匠さん(22)=京都市左京区。高校入学後に勉強でつまづき、2カ月で不登校になった。大量の課題、速い授業ペース、学力でグループ分けされる教室の雰囲気…。追い詰められて深夜まで机に向かい、気付けば心身のバランスを崩していた。

 当初は自宅で自習していたが、次第に布団からほとんど出られなくなり、翌年に退学。引きこもりとなり、「人生が終わったと思った」。

 自殺まで考えたが、中退した高校の教員らが何度も自宅を訪ねてくれた。「死ぬくらいなら1度挑戦してみよう」との気持ちが芽生え、退学から1年後、別の高校に再入学。第一志望だった京都大に合格した。

 「勉強が分からない自分を受け入れられるようになったのが、大きな変化。1人で抱えず何でも質問できるようになり、周囲と比べて苦しむこともなくなった」

 塾は、学生団体として昨年6月に設立。自身が不登校塾に通った際、授業料が高かったことや、教員との人間的な関わりが無かったことを感じたためだ。

 授業は家庭訪問やオンラインで実施する。勉強のやり直しを望む生徒が経済的な理由で諦めることがないよう、授業料は90分月4回で1万8千円に抑えた。勉強以外にも相談や雑談の時間を多く取り、何に悩み、つまづいているのかを生徒と一緒に考える。「生徒に人として向き合い、安心感を持ってもらうことが一番大事」と話す。

 昨年は本を開くこともままならなかった生徒を含め、2人を大学へと送り出した。現在は京大生9人が参画し、市内の高校生ら12人を指導する。渡邉さんは「世の中には多くの選択肢があり、学校が全てじゃない。意志があるところに、道は開けるはずだ」と力を込める。問い合わせはskyliner33435@gmail.com