予約状況などをモニターで確認するホテルスタッフ(京都市下京区・ホテル日航プリンセス京都)

予約状況などをモニターで確認するホテルスタッフ(京都市下京区・ホテル日航プリンセス京都)

 長期に及ぶ新型コロナウイルス禍でホテルの宿泊客による予約形態に変化が生じている。感染拡大のたびに国や自治体が要請を出すため、事前に旅行計画が立てづらく、予約が宿泊直前に集中しているためだ。ホテル側は利用動向が見通しにくく、宿泊料金の設定に苦慮する。京都の主要ホテルの担当者も秋の観光シーズンを前に頭を悩ませている。

 「秋はまだ動きがない」。ホテル日航プリンセス京都(京都市下京区)の担当者が厳しい表情で話す。紅葉シーズンの10~11月は例年、客室稼働がピークとなる書き入れ時。だがコロナ禍の影響で、今年は宿泊予約の出足が極めて鈍いという。

 新型コロナ流行後、客室予約は全国の感染状況と連動するようになった。首都圏からの利用が多い同ホテルでは、まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の発令が決まるたび、宿泊から予約までの期間が近接する傾向が顕著となったといい、「旅行が可能かどうかぎりぎりまで見極める人が増えた。10月以降の予約はまだ様子見の段階だろう」と分析する。

 客層や旅の形態も大きく変わった。渡航規制によってインバウンド(訪日観光客)がほぼ消失し、国内の団体ツアー客も激減した。代わって増え始めたのが、家族や友人ら少人数のグループだ。近隣府県から短い旅程で訪れる「少・近・短」の傾向が、予約の直近化にも拍車を掛ける。

 予約動向の異変は、価格戦略にも影響を及ぼしている。多くのホテルは客室料金を季節やイベントに応じて変動させているため、京都の場合、観光最盛期となる春や秋に料金を引き上げるのが一般的だ。だが、数カ月先の客室が埋まらない状況で強気の料金設定は難しくなっている。

 加えて京都市内では近年、ホテルの新規開業が相次ぎ、価格競争が激化している。このため「他のホテルの料金をみながら設定するしかないが、稼働率とバランスを取るのが難しい」とホテルの営業担当者は打ち明ける。

 政府は全国19都道府県で緊急事態宣言の期限を9月末まで延長する一方、ワクチン接種などを条件に府県をまたぐ旅行を11月にも認める方針を決めた。

 京都のホテル業界も低迷する宿泊の復調に期待を寄せるが、収益回復につながるかは不透明だ。別のホテル担当者は「どこの宿泊施設も業績は苦しい。宿泊客を獲得するため過度な値下げ競争が起きれば、地域の料金水準が一気に崩れかねない」と懸念する。