近景の建物と遠景の街並みの対比が素晴らしい「パリの屋根、人と街灯」など、住む人の視点でパリを描いた作品が並ぶ会場(京都市下京区・美術館「えき」KYOTO)

近景の建物と遠景の街並みの対比が素晴らしい「パリの屋根、人と街灯」など、住む人の視点でパリを描いた作品が並ぶ会場(京都市下京区・美術館「えき」KYOTO)

 50年以上にわたりパリを描き続けた洋画家・荻須高徳(1901~86年)の仕事を振り返る「荻須高徳展―私のパリ、パリの私」(京都新聞など主催)が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれている。街の構成美を主軸に、ポスターの貼られた壁、果物の並ぶ店先などの日常風景を、一貫して住む人の視点で描いた油彩画74点が並ぶ。


 荻須は1927年の渡仏以来、戦時中を除いてパリで活動を続け、「日本生まれのパリ人」とも呼ばれた。作品は、曇った空、沈んだ色の壁、はげたペンキの文字など「よそ行きでない」パリを描くが、人々の暮らしや街の表情が濃厚に伝わる。


 油彩画を現地で徹底して学んだため、画材の使い方がうまく、店先の果物や街行く人の衣服など明るい色の部分は塗りたてのようにつややかだ。壁のざらつきや塗装のはがれを捉えた筆致も素晴らしい。「パリの屋根、人と街灯」のような大きな作品では、近景の建物と遠景の街並みの対比が楽しめる。


 生地である稲沢市荻須記念美術館(愛知県)所蔵のスケッチ類も展示している。9月10日から10月17日まで。有料。