2021年1月にオープンしたバインミー専門店(宇治市・チョップチョップバインミー)

 全国的に流行したマリトッツォに続いて、いや、それ以前から注目されているパンがある。京都府内で2020年秋ごろから、専門店や取り扱う店が増えてきている「バインミー」だ。

 バインミーは、ベトナム語で「パン」を意味する。ベトナムで食べられているサンドイッチのことである。中の具材に決まりはないと聞くが、フランスパンに、甘酸っぱい風味のなますや、独特な香りのするパクチーなどを挟んでいることが多い。店によって、具材が変わってくるので、個性豊かなバインミーを楽しめるのも魅力の1つ。

 「一日一パン」の企画では、今年の5月〜8月の期間でバインミー専門店を3店舗、紹介している。

【5月12日】京都富屋の有機しば漬バインミー <120gバインミー京都>

※撮影の都合上カットしています

 京都・大原の有機野菜と「富屋」のしば漬を、ソフトフランス生地で挟むことで、和風に仕上げたバインミー。その時々の旬の有機野菜を使っているので、野菜のうまみが引き立っている。ソフトフランス生地のパンは、城陽市のパン屋「PIE & SANDWICH OHSHIMA(パイ アンド サンドウィッチ オオシマ)」に委託して、バインミー専用につくってもらっている。

【7月9日】オリジナルバインミー<チョップチョップバインミー>

※撮影の都合上カットしています

 元フレンチシェフの山中吾太さんがつくるバインミーは、フランス料理の要素が入っている。それは、鶏肉を開いて、豚ミンチと香草、キクラゲを巻いてつくった「バロティーヌ」を応用した具材。バロティーヌのうまみと、ダイコンとニンジンのなますの甘酸っぱさが、口の中で重なり合う。パンは、同じ商店街に店を構える「モグモグベーカリー」に委託。さくっとかみ切れる食感が特徴だ。

※バロティーヌ…開いた鶏肉に詰め物を敷き、筒状に巻き込んだフランス料理

【8月20日】焼肉バインミー<レミーバインミー>

※撮影の都合上カットしています

 牛肉とタマネギに、五香粉という香辛料をかけて焼いた具材と、ヌクマムを絡めたなますをたっぷり挟んだバインミー。焼肉に覆いかぶさるように、パクチーの緑色と、なますの白と人参色が鮮やかに映る。店長の井上三千世さんが自ら、ソフトフランス生地を手がける。発酵時間をしっかりととり、蒸気を使って焼き上げるフランスパンは、クラスト(パンの表皮)がかりっと仕上がっている。

※五香粉…主に中国料理、他にもベトナム、インドシナ地域でも使われる混合スパイス
※ヌクマム…小魚と塩を漬け込み、発酵・熟成してつくるベトナムの魚醤

 それぞれの店の個性が際立つバインミー。京都・大原の野菜や、漬物屋のしば漬けを挟んだもの。フランス料理を応用した具材を挟んだもの。東南アジアで使われる香辛料で味付けした焼肉を挟んだもの。そこには、店主の思い、突き詰めれば、哲学のようなものが一緒に挟まっているように感じられた。

 ☆「一日一パン」は、京都市を中心に、京都や滋賀のパン店をめぐり、毎日ひとつのパンを取り上げ、写真と記事で魅力を紹介する、「ライトプラン」以上の有料会員向け記事です。9月19日〜25日に公開される記事は、特別企画として無料でお読みいただけます。