京都市交通局は各バス停の時刻表にその路線の営業係数(右上の四角で囲まれた数値)を記載している=京都市中京区・烏丸丸太町バス停

京都市交通局は各バス停の時刻表にその路線の営業係数(右上の四角で囲まれた数値)を記載している=京都市中京区・烏丸丸太町バス停

 京都市交通局は、2020年度の市バスの路線別「営業係数」を公表した。新型コロナウイルスの感染拡大による乗客減の影響で、係数を公表するようになった08年度以降初めて全路線で赤字となった。観光客の乗車が多い急行系統7路線の打撃が特に大きく、厳しい運営状況が改めて浮き彫りとなった。

 営業係数は、100円の収入を得るために経費が何円かかったかを示す数値。100より小さければ黒字を表し、大きければ赤字を意味する。市交通局は市バスの経営状況を市民に広く知ってもらおうと、08年度から毎年路線別に公表している。

 19年度もコロナ禍による乗客減の影響が出始めていたが、それでも全体の4分の1は黒字を維持していた。しかし20年度は82路線全てが赤字になった。このうち約3割に当たる24路線は係数が200を超え、100円の収入を得るのに200円以上の経費を費やす厳しい状態に陥っている。

 特に悪化したのが観光地を走る100番台の急行系統だ。西本願寺(下京区)や金閣寺(北区)を巡る111系統の19年度係数は148と突出して悪くなかったが、20年度は2・7倍の398となり、ワースト1位に落ち込んだ。101系統や106系統など他の路線も観光客の「蒸発」で大幅に係数が悪化した。

 市民と観光客の利用が混在している200番台の「循環系統」は乗客の減少幅がまだ小さく、四条通など繁華街を走る207系統の係数は102と、全系統で最も黒字に近かった。赤字の程度が小さい上位5路線には203系統と206系統もランクインした。

 一方、市内周辺部を走る路線は市民利用が多く、コロナ禍による乗客減の影響は小さいものの、以前から赤字の路線が多い。洛西ニュータウン(西京区)と阪急桂駅を結ぶ西3系統が係数299でワースト2位に入るなど、ワースト上位5のうち四つは周辺部の路線が占めた。

 市交通局は「これまでは黒字路線で赤字路線を維持していたが、それが成り立たなくなっている」と嘆く。同局は現在、有識者でつくる審議会「経営ビジョン検討委員会」を立ち上げ、「経営健全化団体」への転落が確定した市営地下鉄とともに経営の立て直し策を議論している。同局は「市民の足は堅持した上で、路線の見直しを含めて対策を考えていきたい」としている。