大津地裁

大津地裁

 大津市内の自宅で乳児にかみついてけがを負わせたとして、別人の歯型を証拠に滋賀県警に傷害容疑で誤認逮捕された母親(22)が、精神的苦痛を受けたとして県と国に計約300万円の損害賠償を求めている訴訟で、国側が「鑑定官が母親と父親の歯型の写真を取り違えた」とする準備書面を大津地裁に提出したことが15日、分かった。

 大津地検が母親の起訴を取り消し、再捜査した県警は昨年10月、母親の「関係者」を同容疑で書類送検。捜査関係者によると、送検された人物は父親で、大津区検は不起訴とした。理由について大津地検は「諸般の事情を総合的に考慮した」などとし、県警はこの事件の捜査は終結したとしている。

 国側の準備書面によると、乳児の左前腕の歯型痕ようのものを調べるため、県警鑑識課の鑑定官が、母親と父親、親族2人の計4人の上下の歯型を採取。4人の歯型に石こう液を流し込んで復元した歯型も作った。しかし、母親の下の歯型と父親の下の歯型の写真を取り違えたまま鑑定を進め、乳児の腕の歯型痕は母親の下の歯によってできた可能性があると結論づけた。検察官は入れ違いに気付くことはできなかったとしている。訴訟の次回の弁論準備手続きは今月28日。

 母親は2019年10月、乳児の腕の傷痕と歯型が一致したとする誤った鑑定結果などを基に逮捕された。昨年の同地裁での公判中、県警が別人の歯型と取り違えたことが判明した。