亀岡市役所

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 京都府亀岡市に生活保護申請の希望者が相談する際、市が市議や支援団体スタッフの同席を拒否するケースが続いている。不安を抱える申請希望者が制度に詳しい支援者に同席を求めるのは一般的だが、市は「本人の事をよく知る『キーパーソン』でなければ断る」と説明する。市内の生活保護利用者数が近年大幅に減る中、新たに同席拒否が始まったことで「利用者抑制の一環では」と疑念を呼ぶ事態となっている。

 拒否されているのは、並河愛子市議と「亀岡生活と健康を守る会」(生健会)の藤野広司事務局長。いずれも長年、相談や申請の場に同席してきたが、それぞれ昨年5月と6月に突然、認められなくなり、その後も拒否が続いているという。並河市議は「市議がいると職員が圧力を感じるとも聞いた。寄り添っているだけなのだが」と困惑する。

 市健康福祉部は取材に対し「親族や民生委員、ヘルパーら本人と長く接し、状況を客観的に聞ける同席者は認めている」とし「市議や生健会だから拒否しているのでない。申請者本人を長く支援している場合などはその都度判断し認めることになる」と回答した。佐々木京子部長は「生活保護利用の抑制の意図は全くない。どうにもならなくなる前にぜひ福祉制度を使っていただきたいと考えており、ためらわずに相談、申請してほしい」と積極的に利用を促す姿勢を強調した。

 市内で生活保護を利用している人は年々減っている。2020年度は721人で、16年度(1060人)から32%減少した。同時期の京都市を含む府内の減少率は8%、全国4%で、亀岡の減少幅は突出している。理由について市は「人口減少」「新型コロナウイルス禍前までの好況」「家計改善事業など生活保護に至る前の自立支援事業の充実が奏功」と列挙する。ただ亀岡市が他都市と比べて著しく人口減少が進んだり景気が良かったり、自立支援事業が最先端を走っていたりするわけでもなく説得力に欠ける。

 生活保護申請の相談自体も減っており、藤野事務局長は「4、5年ほど前から、相談に行っても、体が悪いのに就労を強く求められたり、生活に不可欠な車の放棄を求められたりと、厳しさが増している。『亀岡では必要であっても保護を受けづらい』と思われている実態もあり、最後のセーフティーネットとして使いやすい態勢に改めてほしい」と訴えている。

 花園大の吉永純教授(公的扶助論)の話 市民が同席を求めるのは「圧倒的に行政が強い力関係」「複雑な生活保護制度による情報格差」「密室での1対1の相談」という事情がある。生活保護に該当する人に行政が間違った説明をしても、密室では証拠が残らない。プライバシー保護は本人が同意していればクリアできる。同席の有無にかかわらず、本人が困窮に陥っているかどうかを判断すればよいだけだ。亀岡市の保護利用者の大幅な減少もがくぜんとする。あまりに不正常と思われるので、今後事情を聴き、年内にも対応改善を申し入れていきたい。