女子高生選手への隠し撮りの手口

女子高生選手への隠し撮りの手口

 アスリートへの性的な意図を持った画像の撮影や拡散行為が社会問題化する中、被害が有名選手だけでなく、一般の高校生らにも及んでいる実態が明らかになった。京都府警が16日に府迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)容疑で書類送検した男性(47)は各地で女子選手の盗撮を繰り返していたとされる。府警は他競技も含めて警戒を進める方針で、スポーツ大会の運営者側は抑止力につながると期待する。

■「ブルマ撮りたかった」供述

 8月22日朝、京都市右京区の競技場。コロナ禍で無観客開催となった陸上大会のトラックに、場外から小型カメラを向ける男性がいた。約10メートル先のゴール地点で走り終えた女子高校選手を連続撮影していたとみられ、警戒中の捜査員が職務質問すると「女性のブルマや競技姿が撮りたかった」と自供したという。

 府高校体育連盟(高体連)陸上競技専門部の渡辺為彦教諭(56)=西京高=は「こうした被害は10年ほど前からある」と明かす。対策として中高生の保護者は撮影許可を学校に申請する仕組みにし、腕章を着けてもらってきた。それでも女子選手の短距離走のスタートを背後から撮影し、走り高跳びで開脚する瞬間を狙う不審な人物が後を絶たないという。

 場内アナウンスで警告し、審判らが駆け付けて注意することがあるが、中には、写真データを削除したり、仲間と無線で連絡を取り合ったりして逃れようとする撮影者もいたという。渡辺教諭は「運営側には注意喚起しかできない難しさがあった」と振り返る。

 府警は8月に府高体連や府中学校体育連盟と対策会議を開き、今回の陸上競技大会で警戒活動を行うことを決めた。今後は他の競技にも広げて警戒を続けていく方針で、府高体連の谷口直子事務局長は「警察の協力はありがたい。被害の抑止につながれば」としている。

■違反行為線引き難しく

 選手を狙った性的画像の撮影行為に京都府警が府迷惑行為防止条例を適用したことについて、専門家からは被害を減らすために摘発の推進を求める声の一方、違反行為の線引きが難しい点から慎重な対応を求める意見も出た。

 日本陸上競技連盟法制委員会の工藤洋治弁護士は「京都と同じ『卑わいな言動』の規定は各都道府県の条例にもあり、アスリート盗撮は十分摘発できる。今回が前例となり、全国でも条例を活用した取り締まりが広がってほしい」と抑止効果を期待する。

 一方、府条例は「卑わいな言動」の具体例が条文に明記されていない。甲南大の園田寿名誉教授(刑法)は「何が違反に当たるのか曖昧なため、一般の撮影者を萎縮させる恐れもある。アスリート盗撮は許されないが、過剰な規制にならないよう、条例を厳格に解釈するべきである」と話した。