笑顔で手渡されたコロッケは、ほかほかで、格別の味だった。先月、京田辺市で京都府内の「農福連携」の事業を紹介するイベントが開かれた。障害者らが同市で育てた伝統野菜「えびいも」を調理した評判のコロッケも出店で販売された▼障害者が農業を通じて社会参画する農福連携の取り組みが全国で進んでいる。府内では障害者の就農とともに、高齢者や若者らが寄り添う「地域共生」も育む京都式農福連携が各地で行われている▼京田辺市の障害者就労支援事業所「さんさん山城」もその一つ。聴覚障害者やひきこもり経験のある若者らが職員と共に、事業所敷地をはじめとする農地で野菜などを栽培し、総菜やスイーツに加工する。事業所のカフェで地産地消のランチも出している▼農地で作業する人も、ランチを作る人も、食べる人も、みんな笑顔だ。農福連携は農業だけでなく、人と人が支え合う地域のコミュニティーも再生する▼統一地方選前半の投開票が行われた。人口減と高齢化への対応策を、それぞれの候補者がアピールした。地域の崩壊をどう防ぐのか、議員の今後の仕事が問われる▼農村だけでなく、都市でも人口減と高齢化は進んでいる。都市に農地を増やして農福連携を進めるさんさん山城の取り組みは、都市再生のヒントになる。