京舞井上流の五世家元、井上八千代(64)=人間国宝=が、井上流のみに伝わる珍しい舞「弓流し物語」を10月9日、大阪・国立文楽劇場での「東西名流舞踊鑑賞会」で披露する。源義経が戦の最中に弓を海に落とした“弓流し”など、平家物語で知られる源平の戦いのありさまを、義太夫に合わせて一人で舞う。義太夫には、文楽の豊竹咲太夫(とよたけさきたゆう)(77)=人間国宝=と、三味線の鶴澤燕三(つるざわえんざ)(62)が出演。上方の人間国宝共演の舞台となる。=敬称略

 「義経をはじめ、源平のいろんな人物が描かれた曲。勇壮な戦(いくさ)語りの底に、平家物語につながる無常観がにじめば」と八千代。


 「弓流し物語」は、江戸時代後期に活躍した二世井上八千代(1790~1868年)の振り付けとされる。


 源平の戦いの後、義経の家臣だった佐藤忠信(ただのぶ)の妹・玉里(たまざと)が源頼朝に呼び出され、「屋島の戦い」を中心に源平の戦を物語る―という詞章上の設定になっている。