原始からの祈り託して

重要文化財 円錐形土偶 鋳物師屋遺跡(山梨県) 縄文時代中期・前3000年ごろ 南アルプス市ふるさと文化伝承館

 世界各地で人が最初に作った人間の姿は例外なく女性像だという。「多産を祈る生物としての根源的な感覚かもしれない」と龍谷大龍谷ミュージアムの岩井俊平学芸員は推察する。同ミュージアム(京都市下京区)で18日から始まる秋季特別展「アジアの女神たち」では女性の姿をした神々がアジアの歴史の中でどんな願いを託されてきたかを150件の資料で紹介する。

 インド、ガンダーラ、メソポタミアなど各地の女神や女性像が並ぶ。24日までの1週間は国宝の吉祥天像を展示。毎年1月に薬師寺の修正会で本尊となるが、間近で鑑賞できる貴重な機会だ。北シリアや縄文の土偶なども見どころ。

国宝 吉祥天像 奈良時代・8世紀 薬師寺((c)飛鳥園)
魚籃観音像 中国 明・1513年賛 香雪美術館

 日本で人気のある弁才天は、琵琶を奏でる天女のイメージで音楽や学問の神とされる。ところが「金光明最勝王経」で弁才天をたたえる文は、ヒンズー教の文献からの引用であり、内容はヒンズー教では殺戮(りく)を行う戦いの女神・ドゥルガーへの賛嘆文だ。展示では弁才天に1章を割き、この変容を解説する。ドゥルガー像も展示する。

弁才天立像 南北朝時代・14世紀 鶴林寺(兵庫県)
ドゥルガー立像 インド 20世紀 国立民族学博物館

 また、日本では観音像は女性に近い柔和な姿で表されるが、インドでは男性。仏教が中国に伝わる過程で中性的になり、女性化したようだ。

ヴァイシュナヴィー立像 ガンダーラ周辺 7~8世紀ごろ
ハーリーティー坐像 スワート(パキスタン) 2~3世紀
女性土偶 北シリア 前5500年頃 平山郁夫シルクロード美術館

 日本は神話の最上位に女性の天照大神が位置する。吉祥天や鬼子母神などの女神も親しい存在だ。これら女神たちのルーツは何か。どんな変遷を経てきたか。身近な女神たちを違う角度から見ることで視野も広がりそうだ。会期中、展示替えあり。

重要文化財 訶梨帝母坐像 平安時代後期・12世紀 東大寺
重要文化財 鬼子母神十羅刹女像 長谷川等伯筆 1564(永禄7)年 大法寺(富山県)


【会期】9月18日(土)~11月23日(火・祝)。月曜と9月21日(火)は休館。9月20日(月・祝)は開館
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会場】龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
【入館料】一般1300(1100)円、高・大生900(700)円、小・中生500(400)円。かっこ内は20人以上の団体料金。小学生未満と、障害者手帳交付を受けている人およびその介護者1人は無料
【主催】龍谷大龍谷ミュージアム、毎日新聞社、京都新聞
【特別協力】浄土真宗本願寺派、本山 本願寺