29歳の若さで亡くなった綾さん(太田さん提供)

29歳の若さで亡くなった綾さん(太田さん提供)

交通事故で娘を亡くした遺族の日々をつづった手記

交通事故で娘を亡くした遺族の日々をつづった手記

 交通事故で一人娘を亡くした滋賀県守山市の太田牧子さん(64)が、被害者遺族の日々をつづった手記「綾ちゃんの赤い小さなお守り」を自費出版した。娘の夫の無謀運転で犠牲となり、家族としての関係性が崩壊。一変した生活や揺れ動く気持ちを克明につづっており、「当事者になったらいろんなことに巻き込まれる。自分のこととして考えて」と訴えている。 

 事故は2015年5月31日に県内で発生。乗用車同士が衝突し、同乗していた綾さん=当時(29)=が死亡した。運転していたのは約1年半前に結婚したばかりの綾さんの夫で、事故当時は時速100キロほどだったことが判明。弁護士を立て、直接の話し合いを拒んできたため対立し、太田さんは事故の相手方だけでなく、娘の夫とも向き合うことになった。

 手記は、遺族が事故後どのように過ごしているのか、あまり知られていない実情を踏まえ、出版した。事故の一報を受け病院に向かった場面から高裁判決が確定し、3回目の命日を迎えるまでの日々を当時の日記を基に記した。普通に暮らしていたら関わりのない警察官や検事とのやりとり、弁護士を見つける難しさ、環境や立場の違いから変化してしまった人間関係などを当時のリアルな気持ちや感情とともに時系列に沿って紹介している。

 タイトルの「赤い小さなお守り」は綾さんが12歳の時に手作りしてくれたもので事故後に偶然見つけた。小さく折り畳んだメモには「どんな時も明るく楽しく」などと励ましのメッセージが書かれており、「力をもらった」と感謝する。交通事故がニュースで報じられるのはごく一部だが、毎日どこかで起きている。太田さんは「加害者にならないと心に留めてもらい、一つでも事故が減ってほしいと」と願う。

 手記は「稲葉まき」のペンネームで発行した。A5判、150ページ。税込み1100円。