(コロナ禍とパン屋さん〜修業時代を共にした仲間と一緒に<上>から続く)

パン生地に向き合う大西さん(右)と東さん(京都市中京区・小麦処むく)

 それからは、新店舗のメニュー開発に明け暮れる日々だった。店舗の工事と並行し、東さんは頻繁に和歌山へ出向き、大西さんに材料を仕入れてもらって、試行錯誤を繰り返した。

 パンづくりで一番こだわったのは、全ての材料を純国産にすることだ。

 小麦粉、塩、砂糖、イースト、副材料まで全て国産でそろえた。

 「大西が和歌山でパン屋をやっていたころも、材料にこだわっていたんです。国産小麦100%で、添加物を入れないというスタイルでやっていたのをさらに追求しました」と東さん。

 レシピ開発が終わったのが、5月末のこと。

 7月中旬には店の工事が終わり、ほどなくパンが焼ける設備が整った。それと同時に、大西さんが京都に帰ってきた。

 「向こう(和歌山)でやっていた時とは、機材が違うんです。オーブンが違えば、ミキサーも違う。まず環境が違うので、菌がいないんです。パンの酵母がね。何回かパンを焼かないと、安定したパンができないので、オープン間近にして、その調整が一番大変でした」と大西さんは振り返る。

 大西さんが手がけるのは、4種類のシンプルなパン。惣菜パンや菓子パンを焼かない代わりに、店頭には惣菜とパンが別々に並ぶという営業スタイルが特徴だ。

 「サンドイッチは置かないけど、サンドイッチの具材とパンは売りますという形態です。お客様はパンと惣菜を持って帰って、上に載せて食べてもよし、サンドイッチにしてもよしということになります。その惣菜に関しては、飲食店でしかつくれへんようなクオリティのものを販売しています」と東さんは自信を持って話す。

 自家製ベーコン、スモークビーフ、鶏レバーパテ、クリームチーズなどが店頭のショーケースを飾る。

 惣菜づくりは、二人と修業時代を共にし、イタリアンの料理長経験のある統括マネージャーの安達信貴さんが担当する。

 飲食店のノウハウを生かした惣菜と、パンの販売は、まさに「二刀流」である。

 コロナ禍で、自由に、羽を広げて外食に行くことができなくなった昨今。

 飲食店経験が生かされた具材と、国産に特化したパンを重ねて食べると、家の中でちょっとした外食気分に浸れるかもしれない。

 そんなお客の需要に応えるように、純粋無垢(むく)な気持ちで、今日も、シンプルなパンと惣菜づくりに向き合っているのだろう。

店名:小麦処むく
住所:京都市中京区錦小路通高倉上ル中魚屋町508
営業時間:午前10時〜午後6時
定休日:不定休
電話番号:075(708)6808

 ☆「一日一パン」は、京都市を中心に、京都や滋賀のパン店をめぐり、毎日ひとつのパンを取り上げ、写真と記事で魅力を紹介する、「ライトプラン」以上の有料会員向け記事です。9月19日〜25日に公開される記事は、特別企画として無料でお読みいただけます。