障害者施設の利用者とともに作業する後一さん(中央)=福知山市三俣

障害者施設の利用者とともに作業する後一さん(中央)=福知山市三俣

自宅で笑顔を見せる尊ちゃん(後一さん提供)

自宅で笑顔を見せる尊ちゃん(後一さん提供)

 重病の息子が米国で移植手術を受けた京都府福知山市の男性が、市内の障害者施設で働いている。それまで経験がなかった仕事だったが、手術の際に全国から寄付金を受け、「多くの人に助けてもらったので次は自分が誰かを助けたい」と選んだ。息子も元気で過ごしており、「仕事は毎日変化があって楽しい」と話す。

 同市野家の後一充宏さん(37)。次男の尊ちゃん(6)は生後4カ月の時、心臓から全身に血液を送り出すことが難しくなる拡張型心筋症と診断された。米国での心臓移植を目指し、妻の美優紀さん(30)や支援者らと2016年11月から移植費や渡航費などの寄付金を募った。目標の3億2千万円に達し17年11月に渡米、手術を受けた。18年に帰国し、尊ちゃんは入院後、翌年に自宅に戻った。

 寄付金集めには充宏さんや美優紀さんらが街頭で呼び掛けたほか、同市内のスポーツ少年団がチャリティーイベントを開いたり、充宏さんの母校の生徒たちが校内で活動をしてくれたりした。全国で自主的に集めてくれた人たちも多くいた。充宏さんは「交通費も出ないのに毎回街頭に来て手伝ってくれる人たちもいた。本当にありがたかった」と振り返る。励ましの手紙や千羽鶴も全国から届いた。

 充宏さんは元々、実家の会社でダンプカーの運転手をしていた。尊ちゃんの手術後、帰国してからは塗装のアルバイトなどをしていた。「人の役に立つ仕事がしたい」と、ハローワークで見つけた障害者就労支援施設「みらい学園」(同市厚中町)に19年3月に就職した。職業指導員として、幅広い年代の障害者たちと農作業をしたり、企業で資材を再利用できるようにする作業をしたりしている。

 充宏さんは「障害者の人たちが今までにできなかったことができるようになった時や笑顔を見せた時はうれしい」と話す。

 尊ちゃんは今年4月から同市内の保育園に通い始めた。今も月に1度、大阪府内への通院は欠かせないが、元気に過ごしており、ゲームに熱中しているという。「多くの人の支援で息子の命が助かった。今後も仕事を頑張っていきたい」と意気込んでいる。