女子400メートル個人メドレーで3連覇を達成し、世界選手権の出場権を獲得した大橋悠依(東京辰巳国際水泳場)

女子400メートル個人メドレーで3連覇を達成し、世界選手権の出場権を獲得した大橋悠依(東京辰巳国際水泳場)

 世界選手権代表選考会を兼ねた競泳日本選手権最終日は8日、東京辰巳国際水泳場で9種目の決勝が行われた。400メートル個人メドレーの女子は大橋悠依(イトマン東進、草津東高―東洋大出)が4分33秒02で3連覇し、男子は瀬戸大也(ANA)が4分9秒98で2年ぶりに優勝した。ともに派遣標準記録を突破して代表に決定。大橋は200メートル個人メドレーと合わせて2冠を達成した。

 女子400メートル個人メドレーの第一人者はレース前に泣いていた、という。「ずっと不安で。タイムは速くないが、よく頑張ったと思う」。自身が持つ日本記録からは2秒あまり遅れた。重圧との戦いを終え、大橋は複雑な心中を明かした。

 メドレー2種目で日本記録を保持し、国内では敵なし。一方、心技体がかみ合わないまま200メートル個人メドレーは自身の日本記録に遠く及ばなかった。迷いは400メートルの予選でも払拭(ふっしょく)できず、水をかく左手の感覚やターンのキックの位置など「自分がしたい泳ぎと違うところにいた」。

 迎えた決勝は「気持ちを強く持とう」と笑顔を振りまき、スタート台に向かった。飛び込みから浮き上がった際、先行していることを確認すると、第1泳法のバタフライで感覚を取り戻した。本来のストロークの伸びは欠いたが序盤からトップに立つと最後は2位と6秒以上差を付ける危なげないレース展開で世界選手権の代表権を獲得。不振ながらもエースの面目を保った。

 東京五輪の選考レースが本格化する中、今まで以上に派遣標準記録にとらわれていたという。ただ、悩み、もがきながらも相手を寄せ付けなかった強さは本物だ。「泣いてる場合じゃない」。2年前の夏、本命の400メートル個人メドレーでメダルを逃した借りを返すため、女子競泳陣のエースは覚悟を決めた。