鬼伝説の里・福知山市大江町にある日本の鬼の交流博物館に今秋、一冊の本が届いた。「桃太郎は盗人なのか?―『桃太郎』から考える鬼の正体」。著者は千葉県の小学6年生、倉持よつばさんである▼「桃太郎は盗人」と書かれた本と出合い、本当なのかと調べ始めた。鬼退治に行ったのはなぜ、鬼は悪者と思われているのはどうして…。次々に浮かぶ疑問と向き合い、解明に挑む姿勢に引き込まれる▼昨年7月には博物館も訪れた。鬼は人間とする説や酒呑童子が鬼になった理由など取材を受けた塩見行雄館長(70)は「桃太郎の一般的なイメージと違うところに目をつけた着眼点もよく、順序立てて調べ、鬼とは何かという地点まで到達している」と感心する▼図書館の桃太郎を読み比べ、江戸期の作品にも当たった倉持さん。時代とともに物語や鬼の正体が変わることを突き止めた▼博物館に本拠を置く世界鬼学会は来月、設立25年を迎える。初代会長で「令和」の考案者とされる中西進さんは<遊び心をふんだんに持ちつつ、鬼の正体をきっちりととらえようとする集まり>と会報創刊号に記す▼倉持さんの姿勢にも通じるようだ。本のまとめに<鬼は一人ひとりの心の中にいて、自分を成長させてくれるあかし>とある。新時代を生きる道標(みちしるべ)としよう。