「大阪都構想」を掲げる大阪維新の会が、大阪府知事・大阪市長のダブル選を制した。同日選となった議会選挙でも支持を集めた。

 府議選は目標とした過半数の議席を獲得し、勢力を大幅に拡大した。市議選では過半数に届かなかったが議席を積み上げた。

 市長選で当選した松井一郎前知事は「丁寧に議論を進め、最終的に住民に判断いただきたい」と述べ、新たな4年の任期で都構想の住民投票を目指す考えを示した。

 その言葉通り、まずは丁寧な議論を求めたい。橋下徹大阪市長時代の住民投票で一度否決された事実は重い。今回の選挙で具体案が示されたわけではなく、有権者が都構想の是非だけで投票先を決めたとは限らないだろう。

 否決の際に指摘された問題点が、その後改善されたともいえない。再び判断を仰ぐなら、改善点を示すことはもちろん、市民に納得いく説明が欠かせない。

 任期は十分ある。決着を急がずに冷静で透明性のある議論を重ね、合意形成を目指すべきだ。

 ダブル選は松井氏と吉村洋文前市長がともに辞任し、ポストを入れ替わって立候補した。

 住民不在の「奇策」だと反発もあった。何より任期を途中で投げ出したのは問題であり、地方選挙のあしき前例となりかねない。

 だが、1敗でも「維新政治」の転換点となるとの危機感を背景に、議会選挙で候補者を大量擁立した攻めの態勢が奏功した。

 憲法改正などの協力を期待し、関与を弱めた安倍晋三政権の姿勢が勝利を支えた点も見逃せない。

 橋下氏の時代から維新政治には強引な手法が目立つ。こうした姿勢は常に批判も招いてきたが、有権者は改めて支持を示した。

 長く沈滞ムードにあった大阪を何とかしたいという住民の思いがうかがえる。実績も含めて維新の取り組みが一定評価されているのは間違いないだろう。

 都構想が取りざたされて約10年になる。府と市の二重行政を解消しようとする狙いは分かるが、行政サービス低下への不安も根強い。

 なぜ都構想でなくてはならないのか。暮らしがどう変わるのか。維新にはこれ以上奇策を弄(ろう)したり、裏取引をしたりするのではなく、市民の疑問に正面から誠実に答えていく姿勢が必要だ。

 人口減少時代の地方自治の在り方が問われている。大阪に近接し、通勤者も多い京都、滋賀にとっても一定の影響を与える。都構想の行方を注視したい。