レコード好きが高じてドーナツ店を開店した平野さん(亀岡市・Groove Doughnuts)

レコード好きが高じてドーナツ店を開店した平野さん(亀岡市・Groove Doughnuts)

 あっさりとした味わいのプレーン、つやが食欲をそそるキャラメルソース…。店内のショーケースに並ぶのは、レコード好きが高じて考案したこだわりのドーナツだ。ダンサーの平野寛宜さん(35)=京都府亀岡市=は気さくな笑顔で話す。「7インチのレコードは、ドーナツ盤って呼ばれているんです」

 亀岡市南つつじケ丘出身。高校生の頃からブレイクダンスに熱中、JR亀岡駅南のアーケードで夜な夜な練習した。数々のダンスバトルに出場し、国内外に仲間が増えた。DJが繰り出すビートに合わせて踊って音楽にも親しんだ。

 音楽や映像制作など多彩な趣味がある仲間をつなぐ場ができたら、と自身の店を持ちたいという夢があった。ワーキングホリデーで海外に滞在していた際、飲食店でBGMを任されたことなどをきっかけに、レコードから着想を得てドーナツ作りを決心。「昔からある食べ物なのにあまり進化していない」と感じたドーナツを、お気に入りのレコードから味をイメージして、ほぼ独学でレシピを練った。

 地元に店を構えたのは、同じくダンサーの妻が亀岡の物件を見つけたからだ。もともと織物のアーティストが住んでいて、草木染の工房だった建物を店舗に改装した。今年5月、晴れて「Groove Doughnuts(グルーヴ・ドーナツ)」をオープン。ダンサー仲間や親子連れ、近所の農家など口コミが広がって開店前から客が訪れる。午前5時から仕込むドーナツは1日100個限定で、早く売り切れてしまう日も多い。

 緑豊かな風景が広がる同町での暮らしについては「違う町にいる感覚」と話す。それでも通った小学校の校長やサッカーのコーチが来店すれば「地元だと気付かされる」と笑う。

 レコードの音楽が流れる飲食スペースには、田園風景が望める大きな窓も設け、幅広い層の客にくつろいでもらえるようにした。「ドーナツの輪っかのように、輪を広げていろんな人がつながる場所にしたい」と願いを込める。